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「足裏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

足裏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
花嫁の訂正」より 著者:渡辺温
て立ち上がりかけると、その途端にAの細君の足がAの目の前に延びた。Aは彼女の白い足裏に、焚火の残りの消炭か何かで黒く、(アブナイ!)と書かれてあるのを認めた。だ....
名人伝」より 著者:中島敦
にもかくにも早くその人に会って腕を比べたいとあせりつつ、彼はひたすらに道を急ぐ。足裏を破り脛《すね》を傷つけ、危巌《きがん》を攀じ桟道《さんどう》を渡って、一月....
電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
う? 男か女か?」 「男です! しかも裸体です。どうも由蔵らしいと思われますが、足裏が白く爛れていました」 「よしッ! 直ぐ行こう、案内をたのむ!」 と、赤羽....
三狂人」より 著者:大阪圭吉
で、だから「トントン」のいつも立っている窓の下の畳の一部は、トントンとやる度毎の足裏の摩擦でガサガサに逆毛立ち、薬研のように穿くれていた。 二号室の男は、(断....
工場細胞」より 著者:小林多喜二
で湿ッ気と小便臭い匂いがこもり、ムレた畳の皮がブワ/\ふくれ上っていた、汗ばんだ足裏に、それがベタ/\とねばった。 猿又一つになって机の前に坐ると、手紙が来て....
パンドラの匣」より 著者:太宰治
雑巾をじゃぶじゃぶ洗い、それからその雑巾を持って僕の傍へ来てしゃがんで、僕の右の足裏も、左の足裏も、きゅっきゅと強くこするようにして拭いてくれた。足だけでなく、....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
け、あかぎれに飾られる。オリーヴ油やリスリンを塗った位では、血が止まらぬ。主人の足裏も鯊の顋の様に幾重も襞をなして口をあいた。あまり手荒い攻撃に、虎伏す野辺まで....
あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
昇っているのか、ただ閉めてない廊下の上はほの白く灰色に鈍っていた。そこを踏む彼の足裏はひやりと冷気を感じた。 * 彼の自由な生活は冬と春との境のよう....
石狩川」より 著者:本庄陸男
つばもとをゆわえつけた。 川下に向ってだんだん街のあるあたりを遠ざかっていた。足裏にじっとりと水気が草履《ぞうり》をとおして、河口のあちらからは潮の匂《にお》....
雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
枯葉の上に飛び下りて、ちょいと止って、全身を耳に、呼吸を詰めたが、まるで肉食獣の足裏を持っているかのように、カサというひびきも立てず、杜の右手の墓地を潜って鐘楼....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
土橋を潜る水は温みて夢ばかりなる水蒸気は白く顫え、岸を蔽えるクローバーは柔らかに足裏の触覚を擽りて、いかにわれをして試みんとする春の旅の楽しきを思わしめしよ。わ....
楢ノ木大学士の野宿」より 著者:宮沢賢治
が 深く喰《く》い込《こ》んでならんでいる。 所々上の岩のために かくれているが足裏の 皺《しわ》まではっきりわかるのだ。 「さあ、見附《みつ》けたぞ。この足跡....
」より 著者:矢田津世子
思われた。だが、もしかしたらそれは自分の呼吸の激しさかもしれない。冷めたくなった足裏に促されて紀久子は自分の部屋へ入った。ふと自分がこの間まで寝間にしていたその....
不在地主」より 著者:小林多喜二
「熱ッ、熱ッ、熱ッ※」 健は足を洗いに、裏へ廻った。湿った土間の土が、足裏にペタペタした。物音で、家の中から、「健かア――?」と母親が訊いた。 「う。....
由布院行」より 著者:中谷宇吉郎
細《こまか》い砂利を敷いてそれを度々よく洗って、いつでもフレッシュな砂利の感じを足裏に与えるように気を配ったりしてあるところが、如何《いか》にも伯父らしい。それ....