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趺坐
「趺坐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
趺坐の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
を両手で捧げた者、猛虎を足に踏まえた者、香炉に向かって坐っている者、合掌し結跏し
趺坐している者、そうして雲竜に駕している者……千態万状の羅漢の像が、昨日今日|鑿....
「蒲団」より 著者:田山花袋
もしているかと思って、憐憫の情も起らぬではなかった。 この暑い一室に相対して、
趺坐をもかかず、二人は尠くとも一時間以上語った。話は遂に要領を得なかった。「先ず....
「日清戦争異聞(原田重吉の夢)」より 著者:萩原朔太郎
び降りた。 丁度その時、辮髪の支那兵たちは、物悲しく憂鬱な姿をしながら、地面に
趺坐《ふざ》して閑雅な支那の賭博《ばくち》をしていた。しがない日傭人《ひようとり....
「悟浄出世」より 著者:中島敦
様ゆえ、悟浄も眼の慣れるまでは見定めにくかったが、やがて、薄暗い底の台の上に結跏
趺坐《けっかふざ》したまま睡っている僧形《そうぎょう》がぼんやり目前に浮かび上が....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
と。すなわち、指語すらく中に宿るべしと。阿那律すなわち前《すす》みて室に入り結跏
趺坐《けっかふざ》す。坐して未だ久しからずしてまた賈客あり、来たりて宿を求む。寡....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
んぞ知らむ黒壁に消えし蝦蟇法師の、野田山の墓地に顕れて、お通が母の墳墓の前に結跏
趺坐してあらむとは。 その夕もまたそこに詣でし、お通は一目見て蒼くなりぬ。 明治三十五(一九〇二)年一月....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
しゅく》如来、金剛忿怒尊、赤身大力明王、穢迹《えじゃく》忿怒明王、月輪中に、結跏
趺坐《けっかふざ》して、円光魏々、悪神を摧滅す。願わくば、閻※《えんた》羅火、謨....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
の中へ抱え入れた。 入口は狭いが、なかは思いのほか広い。遠い昔、求道の行者が、
趺坐していた跡かのような所も見える。 「オオ酷や……」 ふたたび、ばばがそこか....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
く褪せて、お髪も伸びるままだった。そして一脚の机を前にした白衣すがたは、さながら
趺坐の行者のようにみえる。 それも初めのほどは。 赤坂を脱して、みずからここ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
やがて、近づく道誉の姿を見つけると、具行は、青芒の戦ぎの中で、ただ一つの戦がない
趺坐の石仏のごとく、硬直して、きっと相手をにらまえていた。 「…………」 道誉....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
うかがっていたが、近づいていえる機はなかなかなかった。――誦経がすむと尊氏は半跏
趺坐(片あぐら)のかたちをとり、丹田(下腹)に印をむすび、呼吸をひそめて、いつも....
「『西遊記』の夢」より 著者:中谷宇吉郎
煌《とんこう》出土の降魔図《ごうまず》の中に八戒がいたのである。中央の岩上に結跏
趺坐《けっかふざ》した釈尊《しゃくそん》の周囲に、怪奇な魔衆が群り集っている、空....