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跌
「跌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
跌の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「火の鳥」より 著者:太宰治
ずいた。青年、高須隆哉の舌打が、高野幸代の完璧《かんぺき》の演技に、小さい深い蹉
跌《さてつ》を与えた。 高須隆哉が楽屋を訪れたときには、ちょうど一幕目がおわっ....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
《ことば》の訖《お》わらざるに、車は凸凹路《でこぼこみち》を踏みて、がたくりんと
跌《つまず》きぬ。老夫《おやじ》は横様に薙仆《なぎたお》されて、半ば禿《は》げた....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
なりましたが、しかし総じて物事というものは、とかくいま一歩ひと息というところで蹉
跌《さてつ》しがちなものです。 「え？ 秀の浦でごんすかい。あの野郎は、だれかご....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
。最も無力なる私は私自身にたよる外の何物をも持っていない。自己に矛盾し、自己に蹉
跌し、自己に困迷する、それに何の不思議があろうぞ。私は時々私自身に対して神のよう....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
のもまれである。平田門人としての彼は、復古の夢の成りがたさにも、同門の人たちの蹉
跌にも、つくづくそれを知って来た。ただほんとうに心配する人たちのみがこの世に残し....
「家」より 著者:島崎藤村
かり続いた。製氷を手始めとして、後から後から大きな穴が開いた。 不図した身の蹉
跌から、彼も入獄の苦痛を嘗めて来た人である。赤｜煉瓦の大きな門の前には、弟の宗蔵....
「家」より 著者:島崎藤村
あるところへ行って、自分で茶を入れた。それを兄の前へ持って来た。 一生の身の蹉
跌から、実は弟達に逢うことを遠慮するような人である。未だ森彦には一度も逢わずにい....
「惜別」より 著者:太宰治
大勝利に依って刺戟されて得たこの周さんの発見は、あのひとの医学救国の思想に深い蹉
跌を与え、やがて、その生涯の方針を一変せしめたそもそもの因由になったのではないか....
「作家の像」より 著者:太宰治
つしみつつしみ言動している。大事のまえの小事には、戒心の要がある。つまらぬ事で蹉
跌してはならぬ。常住坐臥に不愉快なことがあったとしても、腹をさすって、笑っていな....
「愛の問題（夫婦愛）」より 著者:倉田百三
をあることで、苦しめ抜いたある真宗信徒の歌である。 夫婦愛というものは少しの蹉
跌があったからといって滅びるようなものではつまらない。初めは恋愛から入って、生活....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
代よりその事業に就き、しかも様々の経験と訓練を経ているので、たとえ中途で事業に蹉
跌することがあっても、日頃の鍛錬はたちまち勇気を喚起して、元の位置に復することあ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
に横恋慕をしたと思いたまえ。それのかなわない腹癒に、商会に対する非常な妨害から蹉
跌没落さ。ただ妻の容色を、台北の雪だ、「雪」だと称えられたのを思出にして落城さ。....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
て楽しむべく、学者学びて蘊蓄を深からしむべし。これそもそも世界の冒険家が幾多の蹉
跌に屈せず、奮進する所以なるか。
余のこの地に進入せしは勇敢なる冒険家諸士に倣....
「明治演劇年表」より 著者:岡本綺堂
女俳優一座を登場させたるが、甚しき不評に終りて莫大の損失をきたせり。守田勘弥の蹉
跌はこれに始まると伝えらる。 ○一月、新富座にて各新聞記者を招待して劇評を依頼す....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
――就中大汝の附近に三々又五々、恣に横時縦錯せる巨岩の堆積は、山頂稀に睹る荒寥｜
跌宕の風物でなければならぬ。之に加うるに海内の偉観と称せらるる眺望の壮大と広闊と....