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跡をつける
「跡をつける〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
跡をつけるの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
来《おうらい》は、いくら寒い時分でも、押し合わないばかりの人通りだ。これはお蓮の
跡をつけるには、都合《つごう》が好かったのに違いない。牧野がすぐ後《うしろ》を歩....
「鍵屋の辻」より 著者:直木三十五
。見張を出して川合方の様子を見せると、立ちそうだという。四人は支度を整えて一行の
跡をつける事にした。鎖帷子《くさりかたびら》と鎖入鉢巻の用意をして、七八町のあと....
「道標」より 著者:宮本百合子
、誰も住んでいない一階の隅から、二階への階段をのぼって行った。ぬれた靴が、階段に
跡をつけるのを気にしながら。
伸子は、下宿の未亡人が暮している一つの室のドアを....
「山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
の先に、僅かにそれと黒く見えるのは、米沢市であろう。話声さえ雪に吸われてスキーの
跡をつけるのさえすまない気がする。ああ目が覚めたようにまぶしい。太陽の恵みのもと....
「マクシム・ゴーリキイの伝記」より 著者:宮本百合子
いていた。そして「祖父が間違えはしまいか、一言でも抜かしはしまいか?」と一生懸命
跡をつける。たまにそういうことがあると、ゴーリキイの心に「人の失敗を喜ぶ意地のわ....
「愚かな一日」より 著者:豊島与志雄
すよ。誰だって書き捨てたものを人に見られるのは嫌なものです。」 彼はふと会話の
跡をつけるのを忘れて、一人考えに沈んだ。いつか書き捨てた自分の文句が、俄に頭に蘇....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
空《から》のままで大通りを過ぎるのを認めた。今はもう、その馬車に乗って先の馬車の
跡をつけるよりほかに方法はなかった。そうすれば安心で確実でまた危険の恐れもない。....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
「なに?」
「ちょっと頼まれてくれ。」
「なにを?」
「馬車からおりてあの婚礼の
跡をつけるんだ。」
「どうして?」
「どこへ行くのか、そしてどういう婚礼か、少し....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
を少し召しあがる。それからもし新聞があれば、その上をべたべたと歩き廻って沢山の足
跡をつける。気が向けば声をふるわして歌を二つ三つ歌う。あとはたいてい昼寝をなさる....
「三国志」より 著者:吉川英治
難いものを感じさせる。彼の門戸にはいつも清浄な砂が敷きつめてあるために、砂上に足
跡をつけるのは何かはばかられるような気持を時の蜀人も抱いていたにちがいない。 ....
「凍るアラベスク」より 著者:妹尾アキ夫
彼女は黒い外套の男が、自分の跡をつけていることを疑わなかった。けれども何が目的で
跡をつけるのであろう。一体彼は誰であろうか。掏摸とも見えなければ、不良青年とも見....