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跡絶え
「跡絶え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
跡絶えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
の》、越後の六ヶ国に亘《わた》り、行程約百五十里、旅行日数二週間内外、なるべく人
跡絶えたる深山を踏破して、地理歴史以外に、変った事を見聞《けんもん》し、変った旅....
「ゼーロン」より 著者:牧野信一
、一気に村の向い側へ飛び越えるつもりであった。――そうすれば、その先は全く人家の
跡絶えた森や野や谷間の連続で、常人にとっては難所であるが私には寧ろ気軽になる筈だ....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
らしく、恨めしくて仕方なかった。 半月ばかりたった。かの女はあまり青年の手紙が
跡絶えたので、もうあれが最後だったのかと思って、時々取り返しのつかぬ愛惜を感じ、....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
境地にはいって、一心不乱に制作したいという彼の望みにしたがって、この、もっとも人
跡絶えた渓谷を卜《ぼく》し、対馬守の手で急ぎ建てられた、いわば、これが、作阿弥の....
「道標」より 著者:宮本百合子
、シベリアの原始林の間へ沈んで行く太陽は何と赤かったろう。そこには雪があった。人
跡絶えた雪の白さ。赤く燃える落日。逆光をうけて真黒く、太古の茂りに立っている原始....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
、その祖先が秦の暴政を避くるがために、妻子|眷族をたずさえ、村人を伴って、この人
跡絶えたるところへ隠れ住むことになったのである。その以来再び世間に出ようともせず....
「春昼」より 著者:泉鏡花
やら書を繙く、それ露が滴るように婀娜なと言うて、水道の水で洗い髪ではござらぬ。人
跡絶えた山中の温泉に、唯一人雪の膚を泳がせて、丈に余る黒髪を絞るとかの、それに肖....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
越し遊ばしました。 夫人 夜叉ヶ|池まで参ったよ。 薄 おお、越前国|大野郡、人
跡絶えました山奥の。 萩 あの、夜叉ヶ池まで。 桔梗 お遊びに。 夫人 まあ、遊....
「雁坂越」より 著者:幸田露伴
かったため絶頂までの半分も行かぬ中に腹は減って来る気は萎えて来る、路はもとより人
跡絶えているところを大概の「勘」で歩くのであるから、忍耐に忍耐しきれなくなって怖....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
扁の嵎といった僻地で……以前は、里からではようやく木樵が通いますくらい、まるで人
跡絶えたといった交通の不便な処でございましてな、地図をちょっと御覧なすっても分り....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
発見をしました。太陽が、あちら側の山河や人間の都会と村を照らしていた間に、この人
跡絶えた城内で、何事がおこったというのでしょう、昨日までの瑪瑙の床は、もうそこに....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
る。もしそういう商売人がなかったら、人は食べることも寝ることも出来ない。まるで人
跡絶えた山の中に入ったようなものである。至るところ商売人があって、宿屋もあれば料....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
はや いずこの方か…… 常世の緑 吹き消えて 翁が影は失せにけり 夜の深淵に
跡絶えて 翁が影は失せにけり (斧の音) あとにただ、…… ひびかうは 時の....
「たぬき汁」より 著者:佐藤垢石
っているのだが、儲け仕事は長く続かず、この一両年の時局柄で毛皮の売れ行きがとんと
跡絶えた。また飼料の方も値上がりで、この先狸を活かしておけない。それぞれ狸を処分....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
査は油断が無い、川に沿うて往きつ戻りつ、ここらの地形を案じていた。 この川は人
跡絶えたる山奥から湧いて来るのであろう、凄じい勢いで滔々と流れ落ちている。其の支....