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「跨ぐ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

跨ぐの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
のが、店から火鉢を抱えて来て、膝と一所に、お大事のもののように据えると、先生は引跨ぐ体に胡坐の膝へ挟んで、口の辺を一ツ撫でて、 「敷きな、敷きな。」 と主税を....
食魔」より 著者:岡本かの子
えない。誰だか知らないが、世界を慥えた奴はいやな奴だ」 その憤懣を抱いて敷居を跨ぐのだったから、家へ上って行くときの声は抉るような意地悪さを帯びていた。 「お....
春昼」より 著者:泉鏡花
んで、最も長い年月、路傍へ転げたのも、倒れたのもあったでありましょうが、さすがに跨ぐものはないと見えます。もたれなりにも櫛の歯のように揃ってあります。 これに....
日本脱出記」より 著者:大杉栄
が傾斜になって、その底に小さな穴があるだけなのだ。そしてその傾斜の始まるところで跨ぐのだ。が、そのきたなさはとても日本の辻便所の比じゃない。 僕はどうしてもそ....
極楽」より 著者:菊池寛
に足も腰も疲れなかった。現世に生きて居た頃には、お西様へ往復して帰ると家の敷居を跨ぐのにさえ、骨が折れたほどだった。が、今では不思議に、足も腰も痛くない。 幾....
薬草取」より 著者:泉鏡花
ぬで、渡守が咎立をすると面倒じゃ、さあ、負され、と言うて背中を向けたから、合羽を跨ぐ、足を向うへ取って、猿の児背負、高く肩車に乗せたですな。 その中も心の急く....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
忙しくなるし、あいにく通筋の板敷に席を取ったのだから堪らない。膝の上にのせれば、跨ぐ。敷居に置けば、蹴る、脇へずらせば踏もうとする。 「ちょッ。」 一樹の囁く....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
と声を懸ける。 実際魔所でなくとも、大崩壊の絶頂は薬研を俯向けに伏せたようで、跨ぐと鐙の無いばかり。馬の背に立つ巌、狭く鋭く、踵から、爪先から、ずかり中窪に削....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
かあ、今日は父親の命日よ。」 と、葭簀を出る、と入違いに境界の柵の弛んだ鋼線を跨ぐ時、莨を勢よく、ポンと投げて、裏つきの破足袋、ずしッと草を踏んだ。 紅いそ....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
が二三輪、ぱっと花弁を向けた。その山の端に月が出た。 「今夜は私が、」 すっと跨ぐ、色が、紫に奪われて、杜若に裙が消えたが、花から抜ける捌いた裳が、橋の向うで....
星女郎」より 著者:泉鏡花
を置く。 「それを見分けるほど、その場合落着いてはいられませんでした。 敷居を跨ぐ時、一つ躓いて、とっぱぐったじき傍に、婦人が立ってたので、土間は広くっても袖....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
Qはこらえ切れなくなってお馴染の家に行って探りを入れた。――ただし趙家の閾だけは跨ぐことが出来ない――何しろ様子がすこぶる変なので、どこでもきっと男が出て来て、....
故郷」より 著者:井上紅梅
鋼鉄の叉棒を握って一|疋の土竜に向って力任せに突き刺すと、土竜は身をひねって彼の跨ぐらを潜って逃げ出す。 この少年が閏土であった。わたしが彼を知ったのは十幾つ....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
が、毎夜、裏庭の防堤にまで、来ていたのは御存知ないのですか」 と八住家の玄関を跨ぐと、法水は突如ウルリーケを驚かせたが、そう云いながらも彼は、背筋を氷のような....
お母さんは僕達の太陽」より 著者:小川未明
ら家へ入って来る時、どれ程こみ上げる程のなつかしさを持っていたか知れない。戸口を跨ぐや否や「お母さん!」と、呼ばずにはいられないのです。 「はーい」と、いう、お....