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跪坐
「跪坐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
跪坐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
から居ずわりになっている男に声かけた。その男は楮の煮らるる釜の下の火を見ながら、
跪坐《しゃが》んで莨《たばこ》を喫《す》っていた。
顎髯《あごひげ》の伸びた蒼....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
ん」 「助けてくれ! 助けてくれ! 小四郎殿助けてくだされ!」 甚太郎は突然|
跪坐いた。 「私は獄卒でございます」悠然と小四郎は立ち上がる。「獄卒に涙はござい....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
まれに外国使節の謁見を許したが、しかし将軍の態度はすこぶる尊大であったのに、その
跪坐低頭の礼をすら免じ、帝みずから親しく異邦人を引見せられるばかりか、彼らをして....
「縮図」より 著者:徳田秋声
。私も心配になって、実は少し悲しくなって来たのよ。独りでお庭へ出て、石橋のうえに
跪坐んで、涙ぐんでいたの。すると一週間目に、箱丁の松さんとお母さんが、ひょっこり....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
り跳ねあがるように起き直った。それでいけなくなると、蚊帳から出て、縁側に立ったり
跪坐んだりした。 もちろんそれはその晩が初めての苦しみでもなかった。もう幾日も....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
「その癖中身はからっぽで」 「どういう意味なのでございましょう?」 「恋人の前へ
跪坐《ひざまず》き、恋人のお手々を頂戴し、そのあげくお手々をふんだくられ、ひどい....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
いてですな。」 「畜生、怪しからず身に染みる、堪らなく寒いものだ。」 と割膝に
跪坐って、飲みさしの茶の冷えたのを、茶碗に傾け、ざぶりと土間へ、 「一ツこいつへ....
「死者の書」より 著者:折口信夫
霞に、唯見呆けて居るばかりであった。 郎女が、筆をおいて、にこやかな笑いを、円く
跪坐る此人々の背におとしながら、のどかに併し、音もなく、山田の廬堂を立ち去った刹....
「夢の図」より 著者:豊島与志雄
根のなかで、亀は石の上に甲羅を干しており、蝦蟇は歯朶の茂みの奥に腹をふくらまして
跪坐しており、蝦や蟹は藻の中に水をふいており、鯰や鯉はいずこにか隠れて見えず、赤....
「秦の出発」より 著者:豊島与志雄
金具を鏤めた貧しい厨子に納めて、安置してある。その前に彼女は赤い小蝋燭をともし、
跪坐して合掌した。 祈祷の文句は折によって異る。仏教の経典の一節のこともあれば....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
け出しながら怒鳴っていたが、だんだんそれが泣声に変って来た。 阿Qは壁に対って
跪坐し、これも神威に打たれていたが、この時両手をついて無性らしく腰を上げ、いささ....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
風貌、その点から云えば武士である。 若武士などへは眼もくれず、巫女の前へ一斉に
跪坐いたが、「いざ姫君、お召し下さりませ」 「ご苦労」と家来に対するように、巫女....
「美の日本的源泉」より 著者:高村光太郎
図は高野山に蔵せられる「聖衆来迎図」のほんの一部分、中央|阿弥陀如来の向って右に
跪坐する観世音菩薩の像である。此全画は又「二十五菩薩来迎図」とも称せられ、恵心僧....
「黄八丈の小袖」より 著者:岡本綺堂
主人の前で寝そべっている訳には行かないので、お菊はすぐに衾を跳退けて蒲団の上に
跪坐ると、お熊はその蒲団の端へ乗りかかるように両膝を突き寄せて彼女の顔を覗き込ん....
「蒼白い月」より 著者:徳田秋声
「これから夏になると、それあ月がいいですぜ」桂三郎はそう言って叢のなかへ入って
跪坐んだ。 で、私も青草の中へ踏みこんで、株に腰をおろした。淡い月影が、白々と....