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「路傍の石〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

路傍の石の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
梓川の上流」より 著者:小島烏水
の喉頭にも迸《ほとばし》らない深思の水、この水を描いて見よう。 二路傍の石の不器用な断片《きれっぱし》を、七つ八つ並べて三、四寸の高さと見ず、一万....
」より 著者:島木健作
くに足りる一つの存在であるのだから。次第にその存在が人々にとって興味がなくなり、路傍の石のように忘れられ、相手にもされなくなるということは、生きている人間にとっ....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
って来た。 「御一新がこんなことでいいのか。」 とひとり言って見た。時には彼は路傍の石の上に笠を敷き、枝も細く緑も柔らかな棗の木の陰から木曾川の光って見えると....
般若心経講義」より 著者:高神覚昇
らぬ、恐ろしい姿をしている観音さまもあります。武蔵野などを散歩していますと、よく路傍の石碑にきざんである、この仏のおすがたを見うけるのですが、とにかく、仏さまな....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
ほとばしっていた。千三は一種の侮辱を感じながら歩くともなく歩きつづけた。とかれは路傍の石につまずいてげたのはなおをふっつりと切らした。 「大変だ」 かれは途方....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
忘れてがんりきを呼ぶ途端に、一人の覆面のために烈しく地上へ投げ出され、その拍子に路傍の石で脾腹《ひばら》を打ってウンと気絶してしまったから、その後のことは何とも....
華々しき瞬間」より 著者:久坂葉子
つりしているじゃあないの。あなた本当にお杉に惚れてしまったのね。私はもうあなたの路傍の石になってしまったのね。私、何もあなたと十年前に戻ろうと云ってやしないわ。....
イタリア人」より 著者:寺田寅彦
奇警な観察を下すのでつまらぬ物が生きて来る。途上の人は大きな小説中の人物になって路傍の石塊にも意味が出来る。君は文学者になったらいいだろうと自分は言った事もある....
わかれ」より 著者:国木田独歩
れが二十二の時ゆくりなく相見て間もなく相思うの人となりぬ。十年互いに知りてついに路傍の石に置く露ほどの思いなく打ち過ぐるも人と人との交わりなり、今日見て今夜語り....
好人物」より 著者:豊島与志雄
は不満なのだ。もうわたしに倦きはてた、というのではない。あの人にとってわたしは、路傍の石にも等しいのだろうか、飼い猫にも等しいのだろうか。もしあの人が、惜別の涙....
女難」より 著者:国木田独歩
い谷々に霞がたなびいて画のようでございました、村里が見えるともう到いた気でそこの路傍の石で一休みしまして、母は煙草を吸い、私は山の崖から落ちる清水を飲みました。....
泡盛物語」より 著者:佐藤垢石
っせと掘りはじめた。私は、正午頃までに受持分を掘り終わってしまったので、表通りの路傍の石に腰かけて一服やっていると、あば辰と樺太の二人が、にこにこしながら私のと....
酒徒漂泊」より 著者:佐藤垢石
である。ところが銀平は尻ごみして動かない。 『おれは決心が鈍った』 と言って、路傍の石に腰をおろし、空を向いて瞑目した。 『高崎をたつときは、随分鼻息が荒かっ....
物を大切にする心」より 著者:種田山頭火
共にし床を並べて親しんだ。阿波――土佐――伊予路を辿りつつあった或る日、私たちは路傍の石に腰かけて休んだ。彼も私も煙草入を取り出して世間話に連日の疲労も忘れてい....
旅の旅の旅」より 著者:正岡子規
る電信の柱ばかりはついついと真直に上り行けばあの柱までと心ばかりは急げども足疲れ路傍の石に尻を掛け越《こ》し方《かた》を見下せば富士は大空にぶら下るが如くきのう....