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跼蹐
「跼蹐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
跼蹐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
酒は気が抜ける。形式の人は、底のない道義の巵《さかずき》を抱《いだ》いて、路頭に
跼蹐《きょくせき》している。 世界は色の世界である。いたずらに空華《くうげ》と....
「薤露行」より 著者:夏目漱石
ャロットの女に呪《のろ》いのかかる時である。シャロットの女は鏡の限る天地のうちに
跼蹐《きょくせき》せねばならぬ。一重隔て、二重隔てて、広き世界を四角に切るとも、....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
って湧《わ》いた変転に召しあげられていた。宗藩の祖である政宗《まさむね》公がまだ
跼蹐《きょくせき》した頃、これはその居城であった。間もなく仙台の青葉城に移って、....
「俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
由な天地に遊んだ後にその獲物を発句に凝結させる人と、始めから十七字の繩張りの中に
跼蹐してもがいている人とでは比較にならない修辞上の幅員の差を示すであろう。鑑賞す....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
であった。 当時天下の大剣豪、立身出世に意がないばかりに、狭い高遠の城下などに
跼蹐してはいるけれど、江戸へ出ても三番とは下がらぬ、東軍流の名人である。――いか....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
識者が斉しく認める処だろう。 だが文部大臣たる以上、たかがスポーツの問題などに
跼蹐《きょくせき》してはいられない。私は先月の本欄で、文部省が内務省などに引き廻....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
時全く別な世界があることを教えられました。
別な世界というのは、自分が今まで、
跼蹐《きょくせき》していた天地のほかに、別に自由自在な天地のあるのを、自分は気が....
「正義の国と人生」より 著者:桐生悠々
「足を地に、地でなくとも、何物にか釘づけられていては、天には昇れない。空間内に
跼蹐していては、時間に飛躍することはできない」 洋の東西を分ち、ヨーロッパとア....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
はよく私を江戸趣味の人間であるようにいっているが、決して単なる江戸趣味の小天地に
跼蹐しているものではない。私は日常応接する森羅万象に親しみを感じ、これを愛玩して....
「文学の曇天」より 著者:豊島与志雄
である。 これだけの蛇足を添えて、さて本旨に戻って――文学の曇天は、文学を益々
跼蹐させ、衰微させるだけである。それ故、その雲を吹き払い、影を消散せしむるだけの....
「妾の半生涯」より 著者:福田英子
、知らず如何《いか》なる因縁《いんねん》にや。あるいはこの不自由なる小天地に長く
跼蹐《きょくせき》せる反響として、かく人心の一致集注を見るならんも、その集中点の....
「東京文壇に与う」より 著者:織田作之助
も、二十代、三十代の者を唯一の読者とするような作品では、所詮はせせこましい天地に
跼蹐しているに過ぎない。もっとも、私とても五十歩百歩、二十八歳の青春を表現したと....
「新たに法学部に入学された諸君へ」より 著者:末弘厳太郎
がない。しかるに法学生のなかには、ややともすると、狭い法律の技術的世界の内にのみ
跼蹐して、一般的教養を怠るがごとき傾向が認められるのは甚だ遺憾であって、これは、....
「鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
これを以ても鴎外が論難好きで、シカモその志が決して区々日本の学界や文壇の小蝸殻に
跼蹐しなかったのが証される。 鴎外の博覧強記は誰も知らぬものはないが、学術書だ....
「「特殊部落研究号」発行の辞」より 著者:喜田貞吉
れ、もしくは解放せられんとする人々も、当然これに均霑すべく、いたずらに広き天地に
跼蹐してその素性の露れんことをこれ恐れ、常に戦々兢々たるものに比して、その利害得....