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踏
「踏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
踏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
寛文《かんぶん》九年の秋、一行は落ちかかる雁《かり》と共に、始めて江戸の土を
踏んだ。江戸は諸国の老若貴賤《ろうにゃくきせん》が集まっている所だけに、敵の手が....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
まだしもふだんと変らなかった。が、彼等は三人とも、堆《うずたか》い薪《たきぎ》を
踏《ふ》まえたまま、同じように静かな顔をしている。
刑場のまわりにはずっと前か....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
に暮しているあわただしい人々の生活とを見た。真夏の日の午《ひる》すぎ、やけた砂を
踏みながら、水泳を習いに行く通りすがりに、嗅《か》ぐともなく嗅いだ河《かわ》の水....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
ようですが、――ただ今だね? 良さん。」
呼びかけられた店員の一人は、ちょうど
踏台の上にのりながら、高い棚《たな》に積んだ商品の箱を取り下そうとしている所だっ....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
間《ま》にか馬の脚を忘れていたのであろう。あっと言う間に俺の脚は梯子段の七段目を
踏み抜いてしまった。……
「十月×日 俺はだんだん馬の脚を自由に制御することを覚....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
ぼうむぎ》の茂みを避《よ》け避け、(滴《しずく》をためた弘法麦の中へうっかり足を
踏み入れると、ふくら脛《はぎ》の痒《かゆ》くなるのに閉口したから。)そんなことを....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
かることだ。貴様がつれて来なければ、おれがあすこへ行って見る」 遠藤が次の間へ
踏みこもうとすると、咄嗟に印度人の婆さんは、その戸口に立ち塞がりました。 「ここ....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
た。 また、別な抽斗をいきなり開けると、私は恋の思い出にばッたりぶつかった。舞
踏靴、破れたハンカチーフ、靴下どめ、髪の毛、干からびた花、――そんなものが急に思....
「初雪」より 著者:秋田滋
に寂然している。彼女はいきなりその素足を氷のように冷たい、柔かな粉雪のなかへ一歩
踏み込だ。と、傷のように痛く疼く冷感が、心臓のところまで上って来た。けれども、彼....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
出し終りたる後は胸一杯、言うべからざる暗愁を醸し生じたり。自ら呼吸を強くし力足を
踏み、町はずれまで送りし人々の影を見かえり勝ちに明神の森まで来りしが、この曲りの....
「寡婦」より 著者:秋田滋
バヌヴィルの館で狩猟が催されていた、その間のことである。その秋は雨が多くて陰気だった。赧い落葉は、
踏む足のしたでカサとの音もたてず、降りつづく陰欝な霖雨にうたれて、轍のなかで朽ち....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
リカのたいていの町や村を形づくっているのは移りあるくひとびとなので、その足の下で
踏みにじられてしまうのだ。そのうえ、ほとんどどこの村でも、幽霊に元気をつけるもの....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
よ」 そう聞くと、二人はすぐさま巴里を指して歩きだした。 大都会に一歩あしを
踏み入れると、彼等はその広いことと、往来の人の多いことに、しばしは途方に暮れた。....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
よ。無数の生きものが、そこに生れ、生活し、死んでゆく。それらのものは、道のうえに
踏み潰された蟻を、その足跡として残して行くだけだ。小屋に住む黒人たちの国に行って....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
晴読雨書なのか、姿こそ農民であっても、一たん彼氏の部屋には入れば、萬巻の書に足の
踏場もなかったとは次兵衛がよく話していた。あの長篇快作『ドグラ・マグラ』も此の頃....