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踏む
「踏む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
踏むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
腕の力が、次第に衰えて来たのであろう、打つ太刀が、一太刀ごとに重くなった。今では
踏む足さえ危うくなった。そこへ、切った犬の数よりも、はるかに多い野犬の群れが、あ....
「Mensura Zoili」より 著者:芥川竜之介
》に死んじまうかも知れません。」
僕は同意した。
「まだ、ZOILIA の土を
踏むには、一週間以上かかりましょう。私は、もう、船が飽き飽きしました。」
「ゾイ....
「沼地」より 著者:芥川竜之介
い力が潜んでいる事は、見ているに従って分って来た。殊に前景の土のごときは、そこを
踏む時の足の心もちまでもまざまざと感じさせるほど、それほど的確に描《か》いてあっ....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
わね。」
三人はしばらく黙っていた。するとそのひっそりした中に、板の間《ま》を
踏む音がしたと思うと、洋一をさきに賢造が、そわそわ店から帰って来た。
「今お前の....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
から根元には何かの針葉《しんよう》が、枝ごと一面に散らばっていた。彼はその針葉を
踏むと同時に、夢が夢でなかった事を知った。――枯木の根本には一振《ひとふり》の高....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
ている訣《わけ》ではない。細引にぐるぐる括《くく》られたまま、目に見えぬペダルを
踏むようにやはり絶えず動いている。常子は夫を劬《いた》わるように、また夫を励ます....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
て、悪く石河岸なぞへ行って立っていたら、身でも投げたくなりはしないかと、二の足を
踏む気さえ起ったと云います。が、それだけまた心配なのは、今夜逢いに来るお敏の身の....
「或る女」より 著者:有島武郎
あるかな、おれには女はお前|一人《ひとり》よりないんだからな。離縁状は横浜の土を
踏むと一緒に嬶《かかあ》に向けてぶっ飛ばしてあるんだ」
といってあぐらの膝《ひ....
「二つの道」より 著者:有島武郎
念を、全然無視した叫びである。一つの声は二つの道のうち一つの道は悪であって、人の
踏むべき道ではない、悪魔の
踏むべき道だと言った。これは力ある声である。が一つの道....
「星座」より 著者:有島武郎
の紺の暖簾《のれん》を潜《くぐ》った。白官舎のとは反対に、新しくはあるけれども、
踏むたびごとにしないきしむ階子段を登って、油じみと焼けこげだらけな畳の上に坐らせ....
「想片」より 著者:有島武郎
って異邦物ではなく、種子そのものの一部分となってくるのと同様であろう。人は大地を
踏むことにおいて生命に触れているのだ。日光に浴していることにおいて精神に接してい....
「三つの宝」より 著者:芥川竜之介
トルを着て御覧なさい。そうすれば消えるかも知れません。 王子 畜生!(じだんだを
踏む)よし、いくらでも莫迦にしろ。わたしはきっと黒ん坊の王から可哀そうな王女を助....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
二人は孤島にあって、美しい間柄で日を過したのみならず、遂に船に救われて英国の土を
踏むことが出来た。フライデーが来てからは、その孤島には対人的道徳即ち社会道徳が出....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
様のお世話になるのでございますが、ただ身魂の因縁とでも申しましょうか、めいめいの
踏むべき道筋は異います。私などは随分きびしい、険しい道を踏まねばならなかった一人....
「寡婦」より 著者:秋田滋
バヌヴィルの館で狩猟が催されていた、その間のことである。その秋は雨が多くて陰気だった。赧い落葉は、
踏む足のしたでカサとの音もたてず、降りつづく陰欝な霖雨にうたれて、轍のなかで朽ち....