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「踏台〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

踏台の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
ようですが、――ただ今だね? 良さん。」 呼びかけられた店員の一人は、ちょうど踏台の上にのりながら、高い棚《たな》に積んだ商品の箱を取り下そうとしている所だっ....
小さき者へ」より 著者:有島武郎
い。私はお前たちの為《た》めにそうあらんことを祈っている。お前たちは遠慮なく私を踏台にして、高い遠い所に私を乗り越えて進まなければ間違っているのだ。然しながらお....
蠅男」より 著者:海野十三
すって」 人々は検事の指す方を見た。なるほど後頭部に傷口が見える。 「オイ誰か踏台を持ってこい」検事が叫んだ。 帆村探偵に抱かれていた糸子は、間もなく気がつ....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
ないものばかりだ。小汚ない古椅子が五六脚あるぎり、思い/\に麦酒の箱や普請小屋の踏台に腰を掛け、中には始終腰を浮かして立ったり座ったりしていた。誰も皆気が立って....
獄中記」より 著者:大杉栄
何でも、もう大ぶ年をとった、背の高い女だった。その時には、ちょうど僕も、雑巾桶を踏台にして女どもの通るのを眺めていた。 仲間のものにはごく人の好いこの強盗殺人....
続獄中記」より 著者:大杉栄
僕はいつも走って行って、ようやく眼のところが窓わくにとどくぐらいなのを、雑巾桶を踏台にして首さしのばして、額を鉄の冷たい格子に押しつけて、見た。そして、あの二番....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
」 と手拭で、ごしごし拭いを掛けつつ云う。その手で――一所に持って出たらしい、踏台が一つに乗せてあるのを下へおろした。 「いや、俺たちは、」 若い紳士は、手....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
五 八月の末だった、その日、俊吉は一人、向島に捏ちられた蠅の形で、窓にも踏台にも、べたべたと手足をあがいて附着く。 電車は見る見る中に黒く幅ったくなっ....
三人の師」より 著者:上村松園
、そのお弟子さんの頭の問題であって、素質のいい者は、そこまで行きその学んだものを踏台として、次に自分の画風を作ってゆく訳である。 師の中へとび込まなくてはいけ....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
、直ぐ前の坑壁には切り離された発火坑の排気管が、針金で天盤の坑木に吊し止められ、踏台の上には分析用の器具が乱雑に置かれたままになっていた。 屍体は俯向きに倒れ....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
を浄めるためであると、彼はさらに説明した。小坂部は彼に扶けられながら、その水甕を踏台にして高い窓から覗いて見ると、秋の青空の果てに唯ひとかたまりのうす黒い雲が小....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
幾分か気を腐らせた。もともと初めから徳永商店に長く粘り着いてる心持はなく、徳永を踏台にして他の仕事を見付ける意でいたのだから、日本人の仕事が一も二もなく抑えつけ....
二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
が初めて達せられる心地がして意気満盛、恐らくその心事に立入って見たら新聞通信員を踏台として私設大使を任ずる心持であったろう。が、二葉亭の頭は活きた舞台に立つには....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ん深くなって来ましたから全くロシア政府の外交はここに成功し、そしてこのチベットを踏台にしてヒマラヤ山上から英領インドに臨んで、インドの全権を掌握してしまうだけの....
俗臭」より 著者:織田作之助
だ。何れにしても寝覚めの良いものではない。というのは、いってみれば、この婆さんを踏台にして、以後トン/\拍子に浮び上って行ったからだ。―― 湯崎から田辺に渡り....