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踏込む
「踏込む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
踏込むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
一番|明かった燈が、アワヤ消えそうになっている。 その時、蛾に向うごとく、衝と
踏込む途端に、 「私ですよう引」と床に沈んで、足許の天井裏に、電話の糸を漏れたよ....
「白蛇の死」より 著者:海野十三
戻って来ました。其時ふとこいつあ千住の方にいるんじゃないかと思ったんで、変電所へ
踏込む積りで、橋の袂を右へ、隅田駅への抜道をとりました。多分二時を少し廻った時刻....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
皮肉な笑に報いるべくニヤリとした。 「謎じゃないさ。僕はどうもその高山と云う家へ
踏込む事は賛成出来ないのだ」 「どうして?」 「支倉にしては手際が悪いからね」 ....
「観画談」より 著者:幸田露伴
もうここを上りさえすれば好いのです。細い路ですからね、わたくしも路でないところへ
踏込むかも知れませんが、転びさえしなければ草や樹で擦りむく位ですから驚くことはあ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
らなかったなら、此夫婦は来年此処で甘藷を掘ることは出来ぬのである。
余は麦畑に
踏込む犬を叱り、道草摘む女児を促し、品川堀に沿うて北へ行く。路傍の尾花は霜枯れて....
「三人の相馬大作」より 著者:直木三十五
家に対する、形式的な挨拶であった。返事をしても、しないでも、次には、土足のまま、
踏込むのであったが、誰も彼も (飛道具が――) と、思っていた。そして、鉄砲が....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
》なものであった。日頃懇意の友情こまやかなる中ならば、干戈《かんか》弓鉄砲の地へ
踏込む前に当って、床の間の花、釜の沸音《にえおと》、物静かなる草堂の中で風流にく....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
密と宗吉の肩を撫でた。 「つくづく、あんな人が可厭になった。――そら、どかどかと
踏込むでしょう。貴方を抱いて、ちゃんと起きて、居直って、あいそづかしをきっぱり言....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
溢さぬ浅翠の中に、萌葱、紅、薄黄色、幻のような早咲の秋草が、色も鮮麗に映って、今
踏込むべき黒々とした土の色も見えたのである。 「花室かい、綺麗だね。」 「入口は....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
一切ならぬ事になっていたから、同じ伊予の国内で僅か三里隔る大洲領内へさえ、一歩も
踏込む事は出来なかったのである。まして遠方へ旅行するなどは、勤務している者は勿論....
「レーリー卿(Lord Rayleigh)」より 著者:寺田寅彦
ペクトル分析をすすめた。それに関するレーリーの手紙に「スペクトロスコピーの泥沼に
踏込むことになっても困るが」と書いてある。 この頃『大英百科全書』の第九版の編....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
た。南玉は、俯向いて、黙っていた。
「何んと致した?――返答が、できんとあれば、
踏込むぞ」
「へえ」
侍が、左手を挙げた。軒下、家の横に忍んでいた捕吏《とりか....
「ロボットとベッドの重量」より 著者:直木三十五
歩いて行くのはいいね。」 「近代風景の一つさ。ロボット専用道路など出来て、人間が
踏込むと、跳ね飛されたってね。」 「そういう時代になったね。」 「日本でも、電気....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
窺っていたが、彼の事件以来、窟には多数の警官が絶えず見張っているので、彼も迂濶に
踏込む隙を見出し得なかった。 と云って、此のままに立去るほどの断念は付かぬ。断....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
討をなさいませんければならない事に成って居りまするが、お刀を取ってしまわない内は
踏込む訳にもいかないので、困って居りましたのです、誠に有難う存じます、夫に相違な....