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踝
「踝〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
踝の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「沼地」より 著者:芥川竜之介
まざと感じさせるほど、それほど的確に描《か》いてあった。踏むとぶすりと音をさせて
踝《くるぶし》が隠れるような、滑《なめらか》な淤泥《おでい》の心もちである。私は....
「溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
ひ》いて行く時の力のことです。それがその日は大変強いように私たちは思ったのです。
踝《くるぶし》くらいまでより水の来ない所に立っていても、その水が退いてゆく時には....
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
なったのであろう、その周囲には、緑の匂いのする、黴《かび》の生えた泥土があって、
踝《くるぶし》まで吸いこまれる、諸君は深山の沼林《ボッギイ・ウッド》の寂蓼を味い....
「モルグ街の殺人事件」より 著者:佐々木直次郎
あった舗石の積山の上に君を押しやった。君はそのばらばらの石ころを踏んで、すべり、
踝《くるぶし》をちょっと挫《くじ》いたので、むかっとした不機嫌な様子で、ぶつぶつ....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
でございます。つまり、薦骨《こしぼね》の突起と突起を合わせてみると、双方の肩先や
踝《くるぶし》にどのくらいの隔たりが出来るか……。(以下一八六字削除)それが、以....
「観画談」より 著者:幸田露伴
建物を少し離れると、なるほどもう水が来ている。足の裏が馬鹿に冷い。親指が没する、
踝が没する、脚首が全部没する、ふくら脛あたりまで没すると、もうなかなか渓の方から....
「続黄梁」より 著者:田中貢太郎
逃げようとしても逃げることはできなかった。鬼は左の手をもって髪をつかみ、右の手で
踝を握って、鼎の中へ投げこんだ。曾の物のかたまりのような小さな体は、油の波の中に....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
の上から赤い糸のようなものがスーっと垂れ下ってきて、脛を伝わって、やがてスーっと
踝のうしろに隠れてしまった。血、血だ! 見れば畳の上にも、ポツンと赤い血の滴り....
「計略二重戦」より 著者:甲賀三郎
」 「そう急がなくても、地下室一杯になるにはたっぷり二時間かかるのだ。今頃はもう
踝の所まで来たろう。君のお父さんはさぞかし、生きた空がなくて、冷々しているだろう....
「死者の書」より 著者:折口信夫
しまったのだ。 ああ、其時きり、おれ自身、このおれを、忘れてしまったのだ。 足の
踝が、膝の膕が、腰のつがいが、ぼんの窪が――と、段々上って来るひよめきの為に蠢い....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
ので、私は長い一帯のじくじくした砂地を徒渉しなければならなかった。そこでは何回も
踝の上までもずぶずぶと沈んだ。それからやっと退いていっている水の縁のところまで来....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
にしても、必死的な退引ならぬ電報の文句を!)と、圭子は考え出した。 樹の根に、
踝を打ちつけて、青いあざを残したけれど、痛みはその時だけで、手の甲の傷も、ほんの....
「地上」より 著者:島田清次郎
、人間の眼のように表情深い眼をもったポチは、彼の足をなめてはふさ/\した頭を彼の
踝におしつけた。彼は思いがけぬ可愛い動物の好意をうけいれて、彼の頭をなでてやった....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
|銭を出して彼に遣る。 『これはよくない』と、院長はモイセイカの瘠せた赤い跣足の
踝を見て思うた。 『路は泥濘っていると云うのに。』 院長は不覚に哀れにも、また....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
出された。 水を渡ったり崖に喰い付いたり、同じ様なことを幾度となく繰り返して、
踝の痛くなった頃、右から落ち合った可なり水量のある沢を越すと、右手に少しの平地が....