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踵
「踵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
踵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
だけ知られている、引き揚げの時の合図である。が、盗人たちは、この口笛を聞いても、
踵《くびす》をめぐらす様子がない。(実は、人と犬とにとりかこまれてめぐらすだけの....
「影」より 著者:芥川竜之介
めながら、忌々《いまいま》しそうに舌打ちをした。が、それにも関らず、靴《くつ》の
踵《かかと》を机の縁《ふち》へ当てると、ほとんど輪転椅子の上に仰向けになって、紙....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
の中に繰返しながら、彼は全く機械的に、汗みずくになった馬の腹を何度も靴《くつ》の
踵《かかと》で蹴《け》った。
―――――――――――――――――....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
たところはすらりとしている。殊に脚《あし》は、――やはり銀鼠の靴下《くつした》に
踵《かかと》の高い靴をはいた脚は鹿の脚のようにすらりとしている。顔は美人と云うほ....
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
た男は新時代と呼ぶには当らなかった。しかし女の断髪は勿論《もちろん》、パラソルや
踵《かかと》の低い靴さえ確に新時代に出来上っていた。
「幸福らしいね。」
「君な....
「早春」より 著者:芥川竜之介
いか、爬虫類の標本室を出ようとした。しかし戸口へ来ないうちにくるりと靴《くつ》の
踵《かかと》を返した。三重子はあるいはひと足違いにこの都屋へはいって来るかも知れ....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
かりにたよるものである。
アキレス
希臘《ギリシア》の英雄アキレスは
踵《かかと》だけ不死身ではなかったそうである。――即ちアキレスを知る為にはアキレ....
「或る女」より 著者:有島武郎
い》をするのだと思うと、泥《どろ》の中でいがみ合う豚かなんぞを思い出して、葉子は
踵《かかと》の塵《ちり》を払わんばかりにそこそこ家を出た。細い釘店《くぎだな》の....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
文で後には百文になったです。この両国の雑踏の間に、下駄脱しや、羽織脱しがあった。
踵をちょっと突くものですから、足を上げて見ている間に、下駄をカッ払ったりする奴が....
「橋」より 著者:池谷信三郎
見送っている。女が口吟んで行く「マズルカ」の曲に耳を傾けている。それからくるりと
踵を返して、あの曲りくねった露路の中を野犬のようにしょんぼりと帰ってくるのだった....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
だなんて云うだろうと思って、気を利かして、ちょうど、あの店で、」 と身を横に、
踵を浮かして、恐いもののように振返って、 「見附かったからね、黙って買って上げよ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の言葉がよく通じたらしく、『承知致しました。少々お待ちくださいませ。』と言って、
踵をかえして急いで奥へ入って行きました。 『乙姫様に首尾よくお目通りが叶うかしら....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
に伴える、もろもろの重荷が充ちみちている。この地獄から脱出すべき唯一の途は、ただ
踵をかえして正道に戻り、正しき神の教に基きて、よき生活を営むことである。 無論....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
のは事実だが、今度は道の向う側の茨やはんの木のしげみに飛びこんだ。先生は今や鞭と
踵と両方使って、年とったガンパウダーのやせほそった脇腹を滅多打ちにした。馬は、鼻....
「活人形」より 著者:泉鏡花
、ほぼこの家の要害を認めたれば、日の暮れて後忍び入りて内の様子を探らんものをと、
踵を返して立去りけり。 表二階よりこれを見て、八蔵は手早く身支度整え、「どれ後....