踵を返す[語句情報] »
踵を返す
「踵を返す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
踵を返すの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「嘘」より 著者:渡辺温
たかな――) だが、殆ど同時に娘もそれと同じことを考えたらしかった。そして俄に
踵を返すと、まともに井深君の前へ立ちふさがった。 「?……」今にも泣き出しそうな....
「殺人鬼」より 著者:浜尾四郎
ちよつと待つて下さい」
こういうと彼は、私にさきに上れと手で相図をしたが、急に
踵を返すと、つかつかと裁判所の自動車の処に行つた。その運転手は、さきに藤枝が検事....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
意なれば、茫然として立ったるに、ふと思い出でしは野衾の事なりき。俄に恐しくなりて
踵を返す。通の角に、われを見て笑いながら彳みたるは、その頃わが家に抱えられたる染....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
わり振った、そのままで、裾を曳いて、ずるずると寄って来るのに、はらはらと、慌しく
踵を返すと、坂を落ち下りるほどの間さえなく、帯腰へ疾く附着いて、ぶるりと触るは、....
「おせん」より 著者:邦枝完二
。七八|間先を小きざみに往く渋蛇の目の横を、一|文字に駆脱けたのも束の間、やがて
踵を返すと、鬼の首でも取ったように、喜び勇んで駆け戻った。 「どうした」 「この....
「茶粥の記」より 著者:矢田津世子
が、前後して線路に下りたかと思うと、すっぽかすようにすぐに一羽がトタンへ戻った。
踵を返すといった慌てかたで残された一羽が追いかけたけれど、見向きもされない。どこ....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
尚様御食事じゃ。サ、早う給仕」 そう冷淡に(と次郎吉にはおもわれた)いい捨てて
踵を返すと、侘びしい灯の流れているほうへ、真黒い衣を鋭くひるがえしながらとつかは....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
、称えるにお嬢様をもってする。 お縫は出窓の処に立っている弥吉には目もくれず、
踵を返すと何か忙しらしく入ろうとしたが、格子も障子も突抜けに開ッ放し。思わず猶予....
「ある完全犯罪人の手記」より 著者:酒井嘉七
雲のように這廻った。……七分、八分、――赤沢は前のように一と言も発せず、くるりと
踵を返すと、再び白いスクリーンの向うに消えてしまった。 ○月 ○日 赤沢荘三郎....
「耳香水」より 著者:大倉燁子
後姿を見送っているうちに、ふと彼女の後を尾けて見ようという好奇心がわいたんです。
踵を返すと、見えがくれに尾いて行きました。土塀の尽きた処で左へ曲り、五六軒目の家....