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蹐
「蹐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蹐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
は気が抜ける。形式の人は、底のない道義の巵《さかずき》を抱《いだ》いて、路頭に跼
蹐《きょくせき》している。 世界は色の世界である。いたずらに空華《くうげ》と云....
「薤露行」より 著者:夏目漱石
ロットの女に呪《のろ》いのかかる時である。シャロットの女は鏡の限る天地のうちに跼
蹐《きょくせき》せねばならぬ。一重隔て、二重隔てて、広き世界を四角に切るとも、自....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
本箱の間を潜り、先ず壁の際に在るのから順に調べる積りで、但《と》ある本箱の横手へ
蹐《しゃがん》だが、此の時壁の中からでも剣が突き出た様に、忽ち余の傍腹を斜めに背....
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
血の文字は此老人が書いたので無い」と言い怪む判事警察官が猶お一言も発せぬうち又|
蹐みて死体の手を取り其左のみ汚れしを挙げ示すに、警官も此証拠は争われず「あゝ大変....
「俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
な天地に遊んだ後にその獲物を発句に凝結させる人と、始めから十七字の繩張りの中に跼
蹐してもがいている人とでは比較にならない修辞上の幅員の差を示すであろう。鑑賞する....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
あった。 当時天下の大剣豪、立身出世に意がないばかりに、狭い高遠の城下などに跼
蹐してはいるけれど、江戸へ出ても三番とは下がらぬ、東軍流の名人である。――いかさ....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
者が斉しく認める処だろう。 だが文部大臣たる以上、たかがスポーツの問題などに跼
蹐《きょくせき》してはいられない。私は先月の本欄で、文部省が内務省などに引き廻さ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
全く別な世界があることを教えられました。
別な世界というのは、自分が今まで、跼
蹐《きょくせき》していた天地のほかに、別に自由自在な天地のあるのを、自分は気がつ....
「正義の国と人生」より 著者:桐生悠々
「足を地に、地でなくとも、何物にか釘づけられていては、天には昇れない。空間内に跼
蹐していては、時間に飛躍することはできない」 洋の東西を分ち、ヨーロッパとアジ....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
よく私を江戸趣味の人間であるようにいっているが、決して単なる江戸趣味の小天地に跼
蹐しているものではない。私は日常応接する森羅万象に親しみを感じ、これを愛玩しては....
「文学の曇天」より 著者:豊島与志雄
ある。 これだけの蛇足を添えて、さて本旨に戻って――文学の曇天は、文学を益々跼
蹐させ、衰微させるだけである。それ故、その雲を吹き払い、影を消散せしむるだけの意....
「東京文壇に与う」より 著者:織田作之助
、二十代、三十代の者を唯一の読者とするような作品では、所詮はせせこましい天地に跼
蹐しているに過ぎない。もっとも、私とても五十歩百歩、二十八歳の青春を表現したとは....
「新たに法学部に入学された諸君へ」より 著者:末弘厳太郎
ない。しかるに法学生のなかには、ややともすると、狭い法律の技術的世界の内にのみ跼
蹐して、一般的教養を怠るがごとき傾向が認められるのは甚だ遺憾であって、これは、教....
「鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
れを以ても鴎外が論難好きで、シカモその志が決して区々日本の学界や文壇の小蝸殻に跼
蹐しなかったのが証される。 鴎外の博覧強記は誰も知らぬものはないが、学術書だろ....
「「特殊部落研究号」発行の辞」より 著者:喜田貞吉
、もしくは解放せられんとする人々も、当然これに均霑すべく、いたずらに広き天地に跼
蹐してその素性の露れんことをこれ恐れ、常に戦々兢々たるものに比して、その利害得失....