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蹣
「蹣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蹣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
子《テエブル》を離れるとなると、彼は口が達者なのとは反対に、頗《すこぶ》る足元が
蹣跚《まんさん》としていた。
「好いか。おい。危いぜ。」
「冗談云っちゃいけない....
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
がらんとするとき、一個の年紀《とし》少《わか》き美人はその同伴《つれ》なる老人の
蹣跚《まんさん》たる酔歩に向かいて注意せり。渠《かれ》は編み物の手袋を嵌《は》め....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
平生の大酒に輪をかけて、二升に近い酒を浴びていた。 その夜、大酔した嘉平次が、
蹣跚として自分のお長屋へ帰ろうとして、台所口を出たときだった。 「親の敵!」とい....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
。 「ううい、処女林か。処女林なんてえ名は、どこにもあると見える」 と彼は、
蹣跚というほどではないが相当の酔心地、ふらふら「恋鳩」の裏手口を過ぎようとした時....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
出発としよう」 「深夜の市長」は立ち上ったが、急に眩暈でもしたらしく、フラフラと
蹣跚いた。 「呀ッ、どうしましたッ」「もし、しっかりしてエ」 倒れようとする「....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
らず識らずの間に罹っているといわれる強迫観念症の仕業にちがいないのだ。 帆村が
蹣跚めくのを追って、私が右にヨタヨタと寄ると、帆村は意地わるくそれと逆の左の方に....
「東京要塞」より 著者:海野十三
れよれの半纏をひっかけた見窶しい身なりをしている。 大道も狭いと云わんばかりに
蹣跚いてゆく酔漢の背後に、半纏着の男はつつと迫っていった。 「あっ、な、なにをす....
「流線間諜」より 著者:海野十三
分らないが、彼等は拳を勢いよくふりあげたのはよいが云いあわせたように、よろよろと
蹣跚き、まるで骨を抜きとられたかのように、ドッと床の上に崩折れてしまった。途端に....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
。これはさ程痛かったためではないが、余り不意であったために泣いたのだ。さて百姓は
蹣跚きながら我家に帰った。永い間女房を擲って居た。そうしてたった一週間前に買って....
「首頂戴」より 著者:国枝史郎
巨大な暁の星が、空から部屋へ飛び込んだように、一瞬間室内輝いた。 眼を射られて
蹣跚いた捕手が、正気に返って見廻した時には、首の無い山内伊賀之助の、死骸が残って....
「赤格子九郎右衛門の娘」より 著者:国枝史郎
っちりと白い二の腕のあたり鮮かに見える蟹の痣。 「あッ」と驚いた忠蔵がヨロヨロと
蹣跚くその途端、丸窓の障子に音がして、ヒューッと白い物が飛んで来た。それがお袖の....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
のは、主馬之進が階段を上り尽くし、二階へ現われた時であった。 「お松!」と叫んで
蹣跚々々、主馬之進はお松の方へ走り寄った。 「…………」 「…………」 が、そ....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
肩を曲め背を丸め、顔を低く地に垂れた。そうして撲たれた犬のように、ヨロヨロと横へ
蹣跚いた、私は何かへ縋り付こうとした。 冷たい物が手に触れた。それは入口の扉で....
「善悪両面鼠小僧」より 著者:国枝史郎
「イヤーッ」と鋭い小野派流の気合。 「む」と若侍は呼吸詰まり、ヨロヨロと廊下へ
蹣跚き出た。 「えいッ」と再び掛声あって、隣室の障子を婆裟と貫き閃めき飛んで来た....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
やく人波の渦より出、追い縋る猪之松の乾児からも遁れ、薮の裾の露じめった草野へ、跚
蹣として辿りついた時には、神気全く消耗し尽くした。 (仆れてなろうか! 仆れぬ!....