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「蹴放し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蹴放しの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
ても勝つ事はできなかった。男はその風呂敷包みをもぎ取って、取り縋《すが》る彼女を蹴放して本所の方へ逃げてしまった。あいにくの雪で往来も途切れているので、お光が泥....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
足を取った。 それを見て半七もすぐに駈け寄ったが、もう遅かった。黒い影は仙吉を蹴放して、もとの塀のなかへ飛鳥のように飛び込んでしまった。 「畜生。ひどい目に逢....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
し逆上せていますから、もうなんの考えもありません。大次郎は掴みつく奴を力まかせに蹴放して、また寄って来ようとするところを抜撃ちに斬りました。 「わあ、人殺しだ。....
爆弾太平記」より 著者:夢野久作
嗟の間にソレだと思って狼狽したらしい。ガブリと潮水を呑まされながら、死に物狂いに蹴放して、無我夢中で舟に這い上ると、ヤット落付いてホッとしたもんだが……」 「…....
名娼満月」より 著者:夢野久作
姓の面々は、すはこそ出たぞ、地震地震と取るものも取りあえず、燭台を蹴倒し、雨戸を蹴放して家の外へ飛び出せば、本堂の中は真暗闇となって、聞こゆるものは砂ほこりの畳....
近世快人伝」より 著者:夢野久作
れない。もしそれ百尺|竿頭、百歩を進めた超凡越聖、絶学無造作裡に、上は神仏の頤を蹴放し、下は聖賢の鼻毛を数えるに到っては天魔、鬼神も跣足で逃げ出し、軒の鬼瓦も腹....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
にもピアノの台にもなまなましい血のあとが付いていました。奥さんはおどろいて障子を蹴放して縁さきへ転げ出すところを、また追っ掛けて行って滅茶苦茶になぐって……。お....
二つの途」より 著者:豊島与志雄
ていた。僕を見捨てて一人で泳いでいる。苦しくなると僕につかまってくる。僕はそれを蹴放してやった。深い所へ沈んでいった。何処へ行ったか分らない。僕一人なんだ。監獄....
善悪両面鼠小僧」より 著者:国枝史郎
侍は束で受けたが切先逸れて肘へ立った。 「あっ」と云う声を後に残し、若侍は雨戸を蹴放し、闇のお庭へ飛び出して行った。 この夜、与力の軍十郎は、同心二人を従えて....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
って来て其の足に絡み付いた。蛇ではあるまいかと想像しながら、市松は足をあげて強く蹴放した。 「はは、多寡の知れた奴らじゃ。」 市松はあざ笑いながら、さらに第五....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
まえだ」 「お慈悲ですッ」 しがみついて泣き吠える又八を、沢庵は立ち上がりざま蹴放して、 「ばかっ」 と小屋の屋根も吹き飛ぶような大喝を吐いて睨めつけた。 ....