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蹴落す
「蹴落す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蹴落すの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「火の鳥」より 著者:太宰治
んな優しい。みんな手助けして呉れる。冷く、むごいのは、あなたたちだけだ。どん底に
蹴落すのは、あなたたちだ。負けても、嘘ついて気取っている男だけが、ひとのせっかく....
「HUMAN LOST」より 著者:太宰治
》深き、いまだ膚やわらかき赤子なれば。獅子《しし》を真似びて三日目の朝、崖の下に
蹴落すもよし。崖の下の、蒲団《ふとん》わするな。勘当《かんどう》と言って投げ出す....
「狂言の神」より 著者:太宰治
つかぬ大きい傷を与え、つつましい一家族の、おそらくは五、六人のひとを悲惨の境遇に
蹴落すのだということに思いいたり、私は鎌倉駅まえの花やかな街道の入口まで来て、く....
「右門捕物帖 三十番手柄 帯解け仏法」より 著者:山中貞雄
侍が居る。 その侍の足許の大きな石。 船頭の舟がその真下を通る。 侍が石を
蹴落す。追って来た舟の上の右門「アッ」と叫んだ。船頭が顔中血だらけになってブッ倒....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
ことが出来るだろうか? とりすがって、どんなことでもしようというのを、穴ぐらに、
蹴落すことが出来るだろうか? あたしは、してやるつもりだけれど、ことによったら、....
「黙示のページ」より 著者:横光利一
き真実の過食のために、其尨大な姿を地に倒した。嘘ほど美味なものはなくなった。嘘を
蹴落す存在から、もし文学が嘘を加護する守神となって現れたとき、かの大いなる酒神は....
「太十と其犬」より 著者:長塚節
来て其塞った鼻の孔へ押し込んでは僅かに呼吸の途をつけてやった。それは霜が木の葉を
蹴落す冬のことであった。枳※の木は竹藪の中に在った。黄ばんだ葉が蒼い冴えた空から....
「操守」より 著者:豊島与志雄
好きだ、ほんとに、好きなんだ。初め、自分を、やけくそから、自分で自分を、溝の中に
蹴落すような気で、うろつき廻った。自分を、泥まみれにすることが、汚くすることが、....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
るぜ。彼はゾッコン惚れているのさ。だから妙心が別の美女を快天王に仕立てて別天王を
蹴落すのを見ていることができない。不具の子、不肖の子ほど可愛いと云うが、別天王も....
「瘤」より 著者:犬田卯
からすぐって見たら十数名はいることであろう。これらすべてが一心同体になれば津本を
蹴落すことは決して不可能ではないにも拘らず、そこには表立って行動するだけの気概の....
「三国志」より 著者:吉川英治
ない。――おれは朝廷の臣、越騎校尉の伍俘だっ」 「斬れッ、こいつを」 驢車から
蹴落すとともに、董卓の武士たちは伍俘の全身に無数の刃と槍を加えて、塩辛のようにし....
「雲霧閻魔帳」より 著者:吉川英治
飛んできた。二、三度首を沈めて、 「おのれッ」 と、飛び上がると、雲霧は、 「
蹴落すぞッ」 と叫んだ。 はっと、外記は、瓦へ寝た。 背に子を負って、大脇....