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「蹴返し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蹴返しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
、ぱッと片足をあげると、活代《かつがわ》りに、相手の脾腹《ひばら》のあたりを強く蹴返しました。一緒に呼吸をふきかえして、きょときょとあたりを見廻していた非人の面....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
くなった。手が硬《かた》くなった。足が硬くなった。中心を失った石像のように椅子を蹴返して、床《ゆか》の上に倒れた。 十九 凝《こ》る雲の底を抜....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
今や穿こうとしていた片足の草鞋を早速の眼つぶしに投げつけて、腰をかけていた床几を蹴返して起った。それと同時に、かれの利腕を取ろうとした一人の手先はあっと云って倒....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
師は声を掛けた。それからブルッと血顫いをした。ケラケラケラと笑わんず気勢。ポンと蹴返して乳の下を諸手突きに一刀刺す。ヒーッという悲鳴。顫わせる指先。爪の色が見る....
流行暗殺節」より 著者:佐々木味津三
に言った声をきき流し乍ら、直人は、黙々と首を垂れて、カラリコロリと、足元の小石を蹴返していたが、不意にまた、クスリと笑ったかと思うと、のっそり顔をあげて言った。....
太十と其犬」より 著者:長塚節
がれた。雨の大きな粒がまばらに蜀黍の葉を打って来た。霧の如く白雨の脚が軟弱な稲を蹴返し蹴返し迫って来た。田甫を渡って文造はひた走りに走った。夕立がどっと来た。黄....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
、手と手の間を抜けつ、潜りつ、前髪ばらりとこぼれたるが仰けざまに倒れかかれる、裳蹴返し踵を空に、下着の紅宙を飛びて、技利のことなれば、二|間ばかり隔りたる舞台に....
丹下左膳」より 著者:林不忘
とうしろに葦簾《よしず》をかっさばいた白光に、早くも身を低めた栄三郎が腰掛けを蹴返したとたん、ものをいわずに伸びきった源十郎の狂刀が、ぞッと氷気を呼んで栄三郎....
虎狩」より 著者:中島敦
態度だった。彼は、その気を失って倒れている男の所へ来ると、足で荒々しく其の身体を蹴返して見ながら私に言うのだ。 ――チョッ! 怪我もしていない―― それが決....
魔都」より 著者:久生十蘭
でやって来ると、八雲町の交番の方から燃立つような夜会服《ソワレ》の裾をヒラヒラと蹴返しながら、蓮歩楚々として進み寄ってきた年のころ卅二三の専太郎好みの乙な美人、....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
ろしたと思うとすぐまた引上げ、上によったり下によったり、そうかと思うと、渚の水を蹴返しながら又ひょろ松のそばへもどってくる。 さすがに、ひょろ松も気にしだして....
少年・春」より 著者:竹久夢二
かし、兎に角、うまく行った。荒木夫人は火のように怒って、鼻息を荒くしながら、裾を蹴返して帰って行った。 「もう決して決して」といって、門の戸をピシャリと閉めた。....
三枚続」より 著者:泉鏡花
の店を中心として真黒な地図に変ずるのであろうと戦慄した。 「ワッ!」 古浴衣を蹴返して転がるように駆出したのは、町内無事の日参をするという、嘉吉が家の婆様じゃ....
式部小路」より 著者:泉鏡花
落ちて、木曾殿打たれたまいぬ、と溝の中で鳴きそうな、どくどくの袷の褄、膝を払って蹴返した、太刀疵、鍵裂、弾疵、焼穴、霰のようにばらばらある、態も、振も、今の先刻....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
え続け打ちに殴ちましたから、禿頭へ傷が出来ましたが、侍は尚お足を揚げて老爺さんを蹴返しました、物見高いのは江戸の習いゆえ大勢人が立ちましたが、誰有って止める人も....