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蹴飛ばし
「蹴飛ばし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蹴飛ばしの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「苦力頭の表情」より 著者:里村欣三
業はあるまいと思ったに違いない。支那に来ている日本人は皆偉そうぶって、苦力を足で
蹴飛ばしている訳だから。苦力頭が昼ごろ見廻りに来たが、その時も俺に見向きもしなか....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
ガ崩れのマスミだった。僕はただ訳も分らず、無暗に腹が立った。マスミの枕をポーンと
蹴飛ばしてやりたくなって、ツカツカと傍へ寄ったが、途端にこれは卑怯だなと気がつい....
「夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
鳴った。 「ウウ、出たッ!」 「や、喧しいやい!」 わしは呶鳴った。蟇がえるを
蹴飛ばした先生は、黙っていた。 ひイ、ふウ、みッつ! やっと、第九工場の、入....
「ニッケルの文鎮」より 著者:甲賀三郎
ぞのように扱って、寝てしまえば自分が肥った豚みたいにグウグウ鼾を掻いて、それこそ
蹴飛ばしたって眼を醒ましやしないんだから、誰だって構やしない事よ。 奥の方はご....
「放浪の宿」より 著者:里村欣三
り立てられずにはいなかったのだ。 『大連』は全く交尾期のついた馬みたいに荷馬車を
蹴飛ばして、シベリヤの曠野を突走りかねない量見を抱いているらしかった。それはまる....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
うものかな?」そうとしかとるより仕方なかった。「若い娘というものは、親の愛なんか
蹴飛ばしても、愛人の方へ来るものだと、俺は今日まで思っていたが、どうもね、今度は....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
とピューは倒れ、その声は夜の空気の中へ高く響きわたった。四つの蹄は彼を踏みにじり
蹴飛ばして通り過ぎた。彼は横倒しに倒れ、それからぐにゃりと俯向になって、それっき....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
分らぬ男ではないから、近頃は無性に怒りつぽくて、弱い奴にはのべつ怒鳴りつけ罵つて
蹴飛ばしかねない勢ひ。そのくせ新円階級に会ふと、まるでもうダラシなく自然に揉手を....
「伯林の落葉」より 著者:岡本かの子
拗な欲求をこめて彼はざくりと公園の落葉の堆積に踏み入った。下駄の歯は落葉の上層を
蹴飛ばした。やや湿って落ち付いた下層の落葉は朽ちた冷たい気配と共に彼の足踏みを適....
「血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
うでしょうね。部屋の扉が内側から鍵がかかっていましたからね」 「じゃ、博士が管を
蹴飛ばしでもしたんでしょうか。私が出た時には、確かについていましたから」 「そう....
「首頂戴」より 著者:国枝史郎
ますると、何処かの大通が酔興のあまり……」 「その見立ても中らないな」総髪の武士
蹴飛ばしてしまった。「いかさま茶を立て遊女を侍らせ、香を焚きながら蒲鉾小屋にいる....
「前記天満焼」より 著者:国枝史郎
は旦那様、可愛いお方は可愛いお方、ちゃあんと分けて居りますのでね」 扇女は早速
蹴飛ばしてしまった。ビクともしない態度である。 「久しいものさ、その白も」 大....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
ぽちじゃありますがね、狂水が総身へ廻ると、小力が出ますんで、いきなりその箒の柄を
蹴飛ばして、血眼で仕切ったでしょう。 可かろう、で、鍍金の奴が腕まくりをして、....
「トンカトントンカッタカッタ」より 著者:今野大力
てる。何だこんなくされ縄。 帳場は親方のお下りゴム長靴で彼女の重ねてあった縄を
蹴飛ばした。彼女はその日泣き乍ら子供を背負って雪路を帰って行った。それでも彼女は....
「赤兵の歌」より 著者:江森盛弥
へし折って来たのだ、 真っ青になって口も利けなくなった師団長の 高慢なシャッポを
蹴飛ばして来たのだ。 俺達は目まいのしそうなビルディングの足塲から下りて来たのだ....