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蹶
「蹶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蹶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
か」 と沈みたる、しかも力を籠《こ》めたる声にて謂えり。 婦人はあわただしく
蹶《は》ね起きて、急に居住まいを繕《つくろ》いながら、 「はい」と答うる歯の音も....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
一人の若い衆は起きられないという。一人は遊びに出て帰って来ないという。自分は
蹶起して乳搾りに手をかさねばならぬ。天気がよければ家内らは運び来った濡れものの仕....
「空中墳墓」より 著者:海野十三
見かけた者があるが、それっきり消息を断ってしまった、というのでしたね。各新聞社の
蹶起を先頭として続々大仕掛けの捜査隊が派遣せられ、凡そ一年半近くも蒙古、新疆、西....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
ときは言わないのか。長年言い古され、すでにうるさいほど指摘された官軍民一体化|総
蹶起のガンはここにあると言わざるを得ない。 十二月二十九日 ◯きのう岡東夫人が....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
たくましく、豪胆剛勇の生まれで、山中の巌窟に独居して、狩猟に日を送っていた。彼は
蹶張を得意とし、熊や虎や豹が、その弦音に応じて斃れた。
蹶張というのは片足で弓を踏....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
いものだった。 今夜の行動は、帆村の示唆《しさ》するところに従って、田鍋課長が
蹶起《けっき》したという形になっていたが、実のところ課長としては何等自信のあるこ....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
いで安心していては、間もなくミミ族のために、簡単にたべられてしまいますよ。さあ、
蹶起してください」....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
て、衝と縁側に出た、滝太郎はすっくと立った。しばらくして、あれといったが、お雪は
蹶起きようとして燈を消した。 「周章てるない、」といって滝太郎は衝と戻って、やに....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
けねばならぬ時代も到着する。見よ、その時、この隠れたる神の児達が、大地の下層より
蹶起して、自己の体得し、又体験せるところを、堂々と証言するであろう。最初は細き谷....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
博奕場も無ければ人も無かった。身中にかなりの痛みを覚えて幾つも拳骨を食い、幾つも
蹶飛ばされたようであった。彼はぼんやりしながら歩き出して土穀祠に入った。気がつい....
「狂人日記」より 著者:井上紅梅
そ本当に人食いの道具だ。 どう考えても乃公は悪人ではないが、古久先生の古帳面に
蹶躓いてからとても六ツかしくなって来た。彼等は何か意見を持っているようだが、わた....
「兎と猫」より 著者:井上紅梅
彼等はたちまち自分で土を掘り始めた。掘り出しかたが非常に早く、前脚で掻くと後脚で
蹶《け》る。半日経たぬうちに一つの深い洞《ほら》を掘り上げた。皆不思議に思ってよ....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
内の有様を察すれば所在の不平士族は日夜、剣を撫して官軍の勢、利ならずと見るときは
蹶起直に政府に抗せんとし、すでにその用意に着手したるものもあり。 また百姓の輩....
「妖怪報告」より 著者:井上円了
とに訪問せんと、平素のごとく家を出発せしが、途次、某川のそばを通行し、あやまちて
蹶倒し、堤脇壇上の杭頭に触れ、いたく前額を打撲しきずつき、なお半身頭部の方を水面....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
が対露戦争につき真に深刻にその本質を突き止めていたなら、あるいは却ってあのように
蹶起する勇気を出し得なかったかも知れぬ。それ故にモルトケ戦略の鵜呑みが国家を救っ....