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躙
「躙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
躙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
ならず窮状を訴えた後《のち》、恩恵を断るのは卑怯《ひきょう》である。義理人情は蹂
躙《じゅうりん》しても好《い》い。卑怯者になるだけは避けなければならぬ。しかし金....
「金将軍」より 著者:芥川竜之介
明《だいみん》の援軍を待ちわびている。もしこのまま手をつかねて倭軍《わぐん》の蹂
躙《じゅうりん》に任せていたとすれば、美しい八道の山川《さんせん》も見る見る一望....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
《ほとん》ど損害の外に、何の恩恵にも浴していない。
*
強者は道徳を蹂
躙《じゅうりん》するであろう。弱者は又道徳に愛撫《あいぶ》されるであろう。道徳の....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
」。そして本当に神々しく、その辛酸に痩せた肉体を、最上の満足の為めに脚の下に踏み
躙った。 基督の生涯の何処に義務があり、犠牲があるのだろう。人は屡※いう、基督....
「映画界手近の問題」より 著者:伊丹万作
おいてなされた登録が、いったん効力を発生するや突如として被登録者の意志と利益を蹂
躙してあますところがない。すなわちこの名簿に登録されたが最後、従業員は会社の同意....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
人でないような扱いをしていたのは、一方からいうと、江戸が東京となって、地方人に蹂
躙せられた、本来江戸児とは比較にもならない頓馬な地方人などに、江戸を奪われたとい....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
あまり爪尖に響いたので、はっと思って浮足で飛び退った。その時は、雛の鶯を蹂み
躙ったようにも思った、傷々しいばかり可憐な声かな。 確かに今乗った下らしいから....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
。 何等の魔性ぞ。這奴等が群り居た、土間の雨に、引※られた衣の綾を、驚破や、蹂
躙られた美しい女かと見ると、帯ばかり、扱帯ばかり、花片ばかり、葉ばかりぞ乱れたる....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
、客の前に跪いて、 「お茶を入替えて参りました、召上りまし。」といいながら膝近く
躙り寄って差置いた。 判事は欄干について頬を支えていた手を膝に取って、 「おお....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
っと嗚咽して崩折れたのを、慰められ、賺されてか、節も砕けるほど身に染みて、夢中に
躙り寄る男の傍。思わず縋る手を取られて、団扇は庭に落ちたまま、お雪は、潤んだ髪の....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
讐的激情の所産である。そして其結果は如何? 麗わしき神の御業は、無残にも脚下に蹂
躙せられ、人間が額に汗して築き上げたる平和の結晶は、一朝にして見る影もなく掃滅せ....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
隅田の美しい流れも、現実には煤煙に汚れたり、自動車の煽る黄塵に塗れ、殊に震災の蹂
躙に全く荒れ果て、隅田の情趣になくてはならない屋形船も乗る人の気分も変り、型も改....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
足へからんだので、亀の子這。 じただらを踏むばかりに蹴はづして、一段膝をついて
躙り上ると、件の障子を密と開けたが、早や次の間は真暗がり。足をずらしてつかつかと....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
の限りをつくした。この間、暴力学生側では糞尿を入れたビンを投げ、会場は徹底的に蹂
躙された。われらは悲憤の涙にくれ、五月十二日を忘れるなと叫び、この日を“流血の金....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
。 シュリーフェンの計画はベルギーだけでなくオランダの中立をも躊躇する事なく蹂
躙するものであった。私がドイツ留学中少し欧州戦史の研究を志し、北野中将(当時大尉....