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身を任せる
「身を任せる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
身を任せるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
五十四
水街道あたりでは皆|枕附《まくらつき》といいまして、働き女がお客に
身を任せるが多く有りますが、此のお隅は唯無事に勤めを致し、余程人柄の好《よ》い立....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
ってお前を鉄砲で打殺す心になったら何うするだえ」 竹「困るね、だけども私はお前に
身を任せる事は何うしても出来ない身分だもの」 早「出来ないたって、病人が死んでし....
「野狐」より 著者:田中英光
物、殊に女の局部の一面にビランした惨状。しかし私はその写真を瞼に描きながら、女に
身を任せる。済んだ後の、またかという悔い。 そこに七十三になる私の老母が泣き崩....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
夜は他の女と寝たのに」。かく思うとき性欲は興奮する。「この女は美しい弄具だ。男に
身を任せるために生まれてきたようにできている」。こう思うとき性欲が興奮する。「じ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
る。一羽の鳩《はと》が、煙突の頂上で喉《のど》を鳴らしている。子供はそれらの音に
身を任せる。彼は歌い出す、ごく低く、それから少し高く、それからごく高く、次には非....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
自棄的な肯定のうちに弁解を見出していた。水の流れに浮ぶ漂流物のように虚無のうちに
身を任せることに、彼は苦《にが》い快楽を味わっていた。たたかってもなんの役にたと....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
などの大音楽会を催していた。それらの作品においては、耳なれた律動《リズム》の音に
身を任せるだけでよかった。それに反して、当代の音楽は彼には堪えがたかった。けれど....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
た芸術が、不道徳な卑しい政治が、満足の笑《え》みを浮かべて虚無の息吹《いぶ》きに
身を任せる柔懦《じゅうだ》な思想が、日に日に積もってゆくのを見て、われわれととも....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
その魂は、いつもオリヴィエの手から逃げ出していた。そして、恋せる女が眼をつぶって
身を任せるのと同様に、幻惑せる感覚の朦朧《もうろう》たる擾乱《じょうらん》の境地....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
り怨んだりしたって、何の役にも立つものではない。それよりか、喜んでその運命の中に
身を任せることだ。
身を任せるというのは、どうなってもいいと言うんじゃない。その運....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
りとあらゆる悪徳が、ふたたび芽を出しはじめたらしい。しかも、僕は、そうした悪徳に
身を任せることに一種の快感をさえ覚えはじめている。恐ろしいことだ。僕はこの誘惑に....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
みあげて来て、何くそ、負けてなるものか、という気になる。 だが、そうした闘志に
身を任せることは、決して友愛塾としての真の勝利をもたらすゆえんではない。それどこ....
「チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
のです。そうです。それで春の野原、御覧なさい、それはちょうど可憐な女の、夜、その
身を任せる人に笑いかけるように、にっとあなたに笑いかけているではありませんか。 ....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
が一番原因になっています。血の出る時の本能的な不安は実にいやなものです。私は死に
身を任せる覚悟のできていない生活はたしかなものではないと思いだしました。そして人....
「雨」より 著者:織田作之助
身を横たえて、不安も不平もなかった。境遇に抗わず、そして男たちに身を任せた。蝶に
身を任せる草花のように身を任せた。 三十六才になって初めて自分もまた己れの幸福....