身を切る[語句情報] »
身を切る
「身を切る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
身を切るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
て足を止めるほどだった。この四五日|火鉢《ひばち》の前ばかりにいた葉子に取っては
身を切るかと思われるような寒さが、厚い膝《ひざ》かけの目まで通して襲って来た。葉....
「星座」より 著者:有島武郎
屋の中では純次が狂暴に泣きわめいていた。清逸は誰のともしれない下駄を突っかけて、
身を切るような明け方近い空気の中に立った。
その時清逸はまたある一種の笑いの衝....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
ーヴをたいてもガランとした部屋のなかはなかなか暖まらず、誰かが小用に立つたびに、
身を切るような比叡おろしがさっと部屋の中を走った。老年の教授達はズボンに手を突っ....
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
たし達は、灯台の根元の波打ち際へ降り立った。 そこでは、闇の外洋から吹き寄せる
身を切るような風が、磯波の飛沫とガスをいやというほどわたし達に浴びせかけた。けれ....
「気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
に歩き続けていた。 沍て泣き喚く様な吹雪の夜の事だ。 雪はやんでいたが、まだ
身を切る様な烈風が吹|捲り、底深く荒れ果てた一面の闇を透して遠く海も時化ているら....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
、初めて闇の魔群の、いかに戦慄すべき害毒を人間界に流し得るかを会得したであろう。
身を切る如き絶望の冷たさ、咫尺を弁ぜぬ心の闇、すべてはただ人肉のうめきと、争いと....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
なものだ」と言ってみた。 彼はそれからまたいつものように街に出て遊んだ。裸者の
身を切るようなつらさはないが、だんだん世の中が変に感じて来た。何か知らんが未荘の....
「故郷」より 著者:井上紅梅
ていた故郷に帰って来た。時はもう冬の最中で故郷に近づくに従って天気は小闇くなり、
身を切るような風が船室に吹き込んでびゅうびゅうと鳴る。苫の隙間から外を見ると、蒼....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
と考えていたが、一度はうるんだ瞼も、やがて涸々になった。 掻き立てられた憎悪に
身を切るような思いを耐えても、早苗は、もうこの男を容赦しないぞと心に決めた。 ....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
ばかりの寒い頃のことであった。地上には季節の名残りが山々の襞に深い雪をとどめて、
身を切るような北国の海風が、終日陰気に吹きまくっていようと云うに、五百尺の地底は....
「雪の夜」より 著者:織田作之助
売だ。おまけに瞳は病気だというではないか。いまさき投げ出して行った金も、大晦日の
身を切るような金ではなかったかと、坂田の黒い後姿が眼に浮びあがって、なにか熱かっ....
「ある恋の話」より 著者:菊池寛
の美しさは、舞台の上だけのまぼろしで、本当の人間はこんなに醜いのかと思うと、私は
身を切るように落胆したものですよ。すると、その遊び人のような男が、 『どうです、....
「アッタレーア・プリンケプス」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
いのです。もっとも時たま冬のあらしがガラスを吹きやぶって、霧氷をいっぱいに含んだ
身を切るような冷気が、円天井の下へどっと流れ込むときは別でしたが。その冷気の流れ....
「金銀小判」より 著者:小川未明
に思って、こたつから出て戸のそばにいきました。そして、戸を細めに開きますと、外は
身を切るような寒い風が吹いて雪が降っています。まだ八つか九つになったばかりの子供....
「公園の花と毒蛾」より 著者:小川未明
ような濃い、冷たい、霧とを、どんなにおそれたかしれません。 「ああ、あの冷たい、
身を切るような、霧の出ないようにはならないものか。」と、花は、しばしば、空想した....