身を投ずる[語句情報] » 身を投ずる

「身を投ずる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

身を投ずるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
を恣《ほしいまま》に洩《も》らす力さえ、――大樹の幹に頭を打ちつけるか、湖の底に身を投ずるか、一気に自己を亡すべき、最後の力さえ涸《か》れ尽きていた。だから彼は....
断崖の錯覚」より 著者:黒木舜平
ひとりの人間に自信をつけて救ってやるためには、どんな傑作でもよろこんで火中にわが身を投ずる。それが、ほんとうの傑作だ。僕は君ひとりのためにこの小説を書いたのだ。....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
どの勢いで、その中には古学の研究と宣伝のみに満足せず、自ら進んで討幕運動の渦中に身を投ずるものも少なくなかった。さきには三条河原示威の事件で、昼夜兼行で京都から....
思想と風俗」より 著者:戸坂潤
、私の身体を移動させて市井の(この経済的社会的矛盾にも拘らず)活々した雑閙の内に身を投ずることは、近代人に一種の安心と自信とをさえ齎すものだ。この際比較的安い映....
惜別」より 著者:太宰治
以て列国の侵略に抗してその独立性を保全すべしと叫んで学業を放擲し、直接革命運動に身を投ずる者も少くなかった。自分も、その風潮に刺戟せられて、支那の危急を救うため....
男女関係について」より 著者:大杉栄
自身の真実ではあるまいかという考えが漸次に頭をもたげて来て、ついにはそこに君の全身を投ずるの冒険をあえてさせるまでに進んで来さえすれば、僕が他の女を棄てるかある....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
神ではないからな。おお、もちろんあの時、おまえがたった一足でも前へ進み出て、下へ身を投ずる構えだけでもしたのなら、神を試みたことになって、たちまちすべての信仰を....
蠱惑」より 著者:豊島与志雄
ってカフェーに行った。それは彼が煙草を吸わないことなんだ。その時私は大海の真中に身を投ずるような心地がした。 私は葉巻を二本途中で買った。一本は袂の中にしまっ....
愉快な話」より 著者:豊島与志雄
よってのみ生かされる。諸種のイズムの窮屈さをいとう稀代の天才が出て、もし文芸界に身を投ずるとしたならば、ヨタリズムなどという運動が起るかも知れない。それは諸種の....
幻覚記」より 著者:豊島与志雄
、私は高声に物を考えるのである。 歩きながら高声に物を考えるのは、一のリズムに身を投ずることである。私の心意も肉体も一のリズムに乗って、そのリズムが、或は紆余....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ので、どちらが譲歩するかという籤《くじ》を引いた。負けたほうはそのままライン河に身を投ずるはずだった。ところがいよいよ籤を引いてから、運|拙《つた》なかったほう....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
もなく一点の埃《ほこり》もかかっていなかった。聖ヴァンサン・ド・ポール派のうちに身を投ずるや、彼女は特に選んでサンプリスの名前をつけた。シシリーのサンプリスとい....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
うちにおいては、一兵卒といえども将軍と同じく英雄であった。自ら滅亡の淵《ふち》に身を投ずることを避けた者は一人もなかった。 熱狂したネーは、死に甘んずるの偉大....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
でも性来、徒党をくむことを甚しく厭み嫌ったために、博徒ギャングの群にも共産党にも身を投ずることがなかった。 云い換えれば、私の一生は孤独の一生であり、常に傍観....
良夜」より 著者:饗庭篁村
ないことをするものではありませんよ」と諄々と諭さるる深切。さては我をこの橋上より身を投ずる者と思いてかくねんごろには言わるるよと心付きて恥かしく、人の来るを見れ....