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身を焼く
「身を焼く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
身を焼くの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
》んでいるのだ。どんな可能でも描いて見る事ができる。そう思うと葉子はわが身でわが
身を焼くような未練と嫉妬《しっと》のために前後も忘れてしまった。なんとかして倉地....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
よさ! ――。苦労をしたい。まったく江戸の女たちがこのゆかしく男らしい名人と恋に
身を焼くほどもひと苦労したくなるのはあたりまえです。 そうして八丁堀へ帰りつい....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
「弔い合戦」と、のぞき込むような目でダネックが言った。それは、彼自身にとっても
身を焼くような執着である。
「君も、今度は木戸のために闘うところだったね。『天母....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
《しっと》がある不可思議の径路を取って、向後《こうご》今の数十倍に烈《はげ》しく
身を焼くならどうだろうと僕は考えた。しかし僕はその時の自分を自分で想像する事がで....
「俊寛」より 著者:菊池寛
が、今まで視野の中に止っているはずはなかった。 彼が再び地上に身を投げたとき、
身を焼くような渇きと餓えとが、激しく身に迫ってきた。 彼は、赦免の船が来て以来....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
、大きくならぬうちに消してしまおうとは試みなかった。只、ひたむきに、その炎が、全
身を焼くにまかせた。
――よし、どうしても、拙者、あの娘をあのままには置けぬ。....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
うして彼女に会って見て、そうして彼女から卒直の恋の素振りを見せられて、始めて彼は
身を焼くような恋の思いに捉えられた。彼は彼女に唆られたのである。恋の窓を開かれた....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
青公家《あおくげ》 歌舞伎芝居のとったりめかして 攘夷攘夷とお先まっくら おのが
身を焼く火攻めの辛苦も とんぼの鉢巻、向うが見えない 山気《やまき》でやらかす王....
「枯菊の影」より 著者:寺田寅彦
穴のような処へ来ている。自分の外には何物もない。何の物音も聞えぬ。耳に響くはただ
身を焼く熱に湧く血の音と、せわしい自分の呼吸のみである。何者とも知れぬ権威の命令....
「ジロリの女」より 著者:坂口安吾
うことになるのだから、あさましかりける次第である。 私は嫉妬というものに人一倍
身を焼くくせに、人の恋路に一応の寛容を持たざるを得ず、その道の手腕に敬服せざるを....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
従って、彼は、過去の経験から、人妻を盗むような必死な、空恐ろしい、それと同時に
身を焼くように烈しい恋に近い場合を、色々と尋ねてみたが、彼のどの恋もどの恋も極め....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
優しいエルフの流義でこの場でも働いてくれ。
あれが胸のおそろしい闘を鎮めて遣れ。
身を焼くやうに痛い、非難の矢を抜いて遣れ。
これまでに受けた怖を除けて胸を浄めて....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
こと 復たこれに過ぐるものなし ――二歳、懐を離れて始めて行く 父に非ざれば火の
身を焼く事を知らず 母に非ざれば刀の指を堕すを知らず 三歳、乳を離れて始めて食ら....
「三国志」より 著者:吉川英治
原理で、油漬けの藤蔓甲は、火に対しては、何の防ぎにもならぬのみか、かえって彼ら自
身を焼くものでしかないことに思い当った。――焔車、地雷の計はみなそれから実行を思....