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「身空〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

身空の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
青春の逆説」より 著者:織田作之助
と結婚したのは十八の時だった。軽部は小学校の教師、出世がこの男の固着観念で、若い身空で浄瑠璃など習っていたが、むろん浄瑠璃ぐるいの校長に取り入るためだった。下寺....
鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
な顔を穴のあくほどジッと見つめていた。見れば見るほど端麗な尼僧であった。まだ若い身空を、この灰色の庵室に老い朽ちるに委せるなどとは、なんとしても忍びないことのよ....
三角形の恐怖」より 著者:海野十三
私の言葉が終ると、低い声で軽々と笑って、 「君は此頃ちと神経衰弱のようだよ。若い身空で、そんな小さいことをくよくよ心配していると、君の姉さんのような病気に乗ぜら....
食魔」より 著者:岡本かの子
振りたがるのは片腹痛い。だがこの青年が身も魂も食ものに殉じていることは確だ。若い身空で女の襷をして漬物樽の糠加減を弄っている姿なぞは頼まれてもできる芸ではない。....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
は若い侍がいる。近所となりの屋敷にも次三男の道楽者がいくらも遊んでいる。妹も若い身空であるから、もしや何かの心得違いでも仕出来して、自分から身をひかなければなら....
猿飛佐助」より 著者:織田作之助
木遁を行いしが、最前よりの汝の働き近頃屈強なり。したが、鹿も通わぬこの山奥に若い身空の隠居いぶかし。先ず問う。何を食うて生きているのじゃ」と、問うたので、度肝を....
故郷を想う」より 著者:金史良
殊に昨年はコスモスの咲き出す頃、すぐ上の姉|特実が亡くなった。三十という若い身空で、子供を三人も残してはどうしても死にきれないと云いながら、基督教聯合病院の....
」より 著者:織田作之助
十八の時だった。軽部は大阪天王寺第×小学校の教員、出世がこの男の固着観念で、若い身空で浄瑠璃など習っていたが、むろん浄瑠璃ぐるいの校長に取りいるためだった。下寺....
くろん坊」より 著者:岡本綺堂
はみえない。しかも鎌倉の名刹で十六年の修業を積みながら、たとい故郷とはいえ、若い身空でこんな山奥に引籠っているのは、何かの子細がなくてはならないと叔父は想像した....
四月馬鹿」より 著者:織田作之助
でにやっと不気味な笑いを笑っている。笑うと、前歯が二本欠けているのが見える。若い身空でありながらわざと入れようとしないのは、むろん不精からだろうが、それがかえっ....
」より 著者:織田作之助
薄に見えずに済むだろうと思われるくらいである。のべつ幕なしにしゃべっている。若い身空で最近は講演もするということだ。あれほどの病気もすっかり癒ってしまったとは思....
可能性の文学」より 著者:織田作之助
も絶え絶えになって御物を拝見してまわり、ああいいものを見た、結構であったと、若い身空で溜息をついている。まことにそれも結構であるが、しかし、これが日本の文化主義....
明暗」より 著者:岡本かの子
更ながら振り返った。悲しみをじっと堪えるように体を固くしている夫の姿が火の下で半身空虚の世界を覗いている様に見えた。 智子は、だんだん眼開きの世界の現象を夫に....
雪柳」より 著者:泉鏡花
うか。」と気取った処で、袱紗で茶を運ぶ、ぼっとりものの腰元がなかったらしい。若い身空にふりみふらずみ、分けてその日は朝から降りつづく遣瀬なさに、築地の家を出て、....
」より 著者:織田作之助
た。お君が彼と結婚したのは十八の時である。 軽部の倫理は「出世」であった。若い身空で下寺町の豊沢広昇という文楽の下っ端三味線ひきに入門して、浄瑠璃を習っていた....