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「身繕い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

身繕いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
三四郎」より 著者:夏目漱石
。美禰子は椅子の背に、油気《あぶらけ》のない頭を、無造作に持たせて、疲れた人の、身繕いに心なきなげやりの姿である。あからさまに襦袢《じゅばん》の襟《えり》から咽....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
ちに」 おとよは金めっきの足に紅玉の玉をつけた釵をさし替え、帯締め直して手早く身繕いをする。ここへ二十七、八の太った女中が、茶具を持って上がってきた。茶代の礼....
観画談」より 著者:幸田露伴
な円い眼に力を入れて※開しながら、 膝まで水が来るようだと歩けんからノ、早く御身繕いなすって。 と追立てるように警告した。大噐晩成先生は一たまりもなく浮腰にな....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
がら夜に入った。 夜の二時頃、枕辺近く撞と云った物音に、余は岸破と刎ね起きた。身繕いしてやゝしばし寝床に突立って居ると、忍び込んだと思った人の容子は無くて、戸....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
い女は、はずして、膝の上に手首に掛けた、薄色のショオルを取って、撫肩の頸に掛けて身繕い。 此方に松崎ももう立とうとした。 青月代が、ひょいと覗いた。幕の隙間....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
霊だって。」 お米は、莞爾して坂上りに、衣紋のやや乱れた、浅黄を雪に透く胸を、身繕いもせず、そのまま、見返りもしないで木戸を入った。 巌は鋭い。踏上る径は嶮....
クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
ット夫人すなわちクラチットの細君は二度も裏返しをした着物で、粗末ながらにすっかり身繕いをして、しかし廉くて、六ペンスにしては好く見えるリボンで華やかに飾り立てて....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
行り出でつ。小稲が肩貸して立たせたれば、手酌して酒飲むとは人かわりて、おとなしく身繕いして、粛然と向直る。 小親は膝に手を置きぬ。 揚幕には、しのぶと重子、....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
入りつ、見えつ隠れつするかに聞えて、浸出すか、零れるか、水か、油か、濡れたものが身繕いをするらしい。 しばらく経つと、重さに半ば枕に埋んで、がっくりとした我が....
一条の縄」より 著者:宮本百合子
雌鴨も、連れの傍によって、白い瞼を開けたり、つぶったりしながら、一生懸命に身繕いをし始めた。 可愛いく胸を張り腰を据えて、如何にも優しい身ごなしで、油を....
今戸心中」より 著者:広津柳浪
れて見世を張る時刻になッた。小万はすでに裲襠《しかけ》を着、鏡台へ対《むか》って身繕いしているところへ、お梅があわただしく駈けて来て、 「花魁、大変ですよ。吉里....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ら出ると、彼女はほっと溜息をついて、あいた寝台のまん中に、長々と身を伸した。彼は身繕いをしながら、彼女の眼を覚させまいと、その心配は少しもなかったが、とにかく用....
自由人」より 著者:豊島与志雄
ともないらしく、何か考えこんだ様子で、鼻がつんと高く聳えていた。居室にはいり暫く身繕いをして、応接室に出て行った。 北村は腰を据えた。どうとでもなれと思った。....
人狼」より 著者:岡本綺堂
い。丁度幸い、今のうちに……。(決心して。)そうだ、今のうちに……。 (おいよは身繕いする。風の音。行燈の火消える。) おいよ (暗い中で。)おお、あかりが消え....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
気の短い重太郎は既う一刻も猶予はならぬ、仇の血を衂るべき洋刃を把出して、彼は俄に身繕いした。奥では又もやお葉の笑い声が聞えた。が、恋しい人の媚かしい声も、熱した....