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身近
「身近〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
身近の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
ない。元のままかもしれない。勝手になれ。葉子を心の底から動かしそうなものは一つも
身近《みぢか》には見当たらなかった。
しかし一つあった。葉子の涙はただわけもな....
「或る女」より 著者:有島武郎
だだけで帰って来た。
「さあここにいらっしゃい。(そういって葉子は妹たちを自分の
身近にすわらせた)このお方《かた》がいつか双鶴館《そうかくかん》でおうわさした倉....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
九 「可恐い事、ちょっと、可恐くって。」 と例の美しい若い声が
身近に聞えて、ぞっとするように袖を窄めた気勢がある。 「私に附着いていらっしゃい....
「暗号の役割」より 著者:海野十三
の次に起ったことを、袋探偵はわりあいはっきり覚えている。 というのは、たちまち
身近に起った大乱闘。罵る声。悲鳴。怒号。殴りつける音。なにかがしきりに投げつけら....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
玉の雪の爪先を頂く真似して、「かように穢いものなれば、くどくどお礼など申して、お
身近はかえってお目触り、御恩は忘れぬぞや。」と胸を捻じるように杖で立って、 「お....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
て一通の書を取出し、良人の前に繰広げて、両手を膝に正してき。尉官は右手を差伸し、
身近に行燈を引寄せつつ、眼を定めて読みおろしぬ。 文字は蓋し左のごときものにて....
「友人」より 著者:上村松園
心と心が無言のうちに相通じるのである。 私はたのしい友人をこのようにしていつも
身近に置いてある。 だから、沢山の友人を持っていると言ってもいいのかも知れない。....
「戦争責任者の問題」より 著者:伊丹万作
に、我々が日常的な生活を営むうえにおいていやでも接触しなければならない、あらゆる
身近な人々であつたということはいつたい何を意味するのであろうか。 いうまでもな....
「錦紗」より 著者:犬田卯
わ……」彼女はひとり胸の中で思いながら、自分を追い抜こうとする遽しいバスの呻りを
身近く感じて急いで道の片側へ避け、吹きかけられる埃を予想してハンカチを懐から引っ....
「画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
三筋塗り残して、襟足を細そりみせる花嫁のお化粧をいたしてやりました。その折りに、
身近に見る花嫁の高島田や母親の髪などをスケッチしたりしましてあの「花ざかり」がで....
「山吹」より 著者:泉鏡花
を見る。) 人形使 (この時また土間の卓子にむかってうつむく。) 画家 (夫人の
身近に、何等の介意なき態度)ははあ、操りですな。 夫人 先生――ですか、あの、こ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
を煽いで下さい、私はちょいとあちらへ参りますから、)と畳へ団扇を辷らして、お夏の
身近う突いて寄越し、(失礼を、)と姫にいって、そのままふいと座を立った。 お夏....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
。 学生の姿が見えなくなると、小店の向うの竹垣の上で、目白がチイチイと鳴いた。
身近を通った跫音には、心も留めなかった麗人は、鳥の唄も聞えぬか、身動ぎもしないで....
「透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
店では、客につり銭をわたすために主人が銭箱のふたをあけた。そのとたん、主人はすぐ
身近に人のけはいがせまるような感じをうけた。 「おやっ?」 主人は、あたりを見....
「押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
たしかに秀治にちがいなかつた。 「おー、よく稼ぐな」 内地にたどりついて最初の
身近な人間の姿であつた。思わず胸が迫つて来て呼びかけた声を、振りむきもせず一廻り....