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車上
「車上〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
車上の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
つづけた。彼は度たび本を前に夜を徹したことを覚えている。いや、几上《きじょう》、
車上、厠上《しじょう》、――時には路上にも熱心に本を読んだことを覚えている。木剣....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
ている。――その楫棒《かじぼう》の先へ立つが早いか、彼は両手を挙げないばかりに、
車上の青年へ声をかけた。
「兄さん!」
車夫は体を後《うしろ》に反《そ》らせて....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
、奇怪なる美人と、奇怪なる挙動《ふるまい》とを載せてましぐらに馳《は》せ去りぬ。
車上の見物はようやくわれに復《かえ》りて響動《どよ》めり。 「いったいどうしたん....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
り経つと、同じ腕車は、通の方から勢よく茶畑を走って、草深の町へ曳込んで来た。時に
車上に居たものを、折から行違った土地の豆腐屋、八百屋、(のりはどうですね――)と....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
黄色な顔のことであった。 このまま我が家へ帰れると思うと、僕は急に気がゆるみ、
車上にトロトロと眠ってしまった。 「旦那、どの辺まで参りますか」 と、突然声を....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
ツと壁ぎわに身を隠した。 「ああ――、静まれ、静まれ。いま重大な布告があるぞオ」
車上の男は、各国語で、同じことをペラペラと叫んだ。その車の奥を見ると、僕はギクリ....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
響がした。毒瓦斯の間からヒョックリ顔を出したのは、真赤な消防自動車だった。だが、
車上には、運転手の外に、たった二人の消防手しか、残っていなかった。その中の一人は....
「心臓盗難」より 著者:海野十三
つき、探偵は二度目の呻り声をあげた。 クーペは薄紫のガソリン排気を後にのこし、
車上の男女は視界から去った。 探偵はようやく吾に戻って、周章てだした。 「あん....
「火星探険」より 著者:海野十三
、実にへんな光景で、街道の至るところに大笑いの種をまいた。 いくら笑われても、
車上の四少年は笑うことをしなかった。いろいろ気にかかることがあって、笑う元気がな....
「人造人間の秘密」より 著者:海野十三
私は、前を見た。いつの間にか、例の怪自動車が、私たちの前に停っていた。そして、
車上からこっちを向いている髯もじゃの顔! 「おお、モール博士じゃありませんか。こ....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
。 「早く乗れ」 トラックの上から、手が出ると、やっという懸けごえと共に、彼は
車上に引き揚げられた。 3 トラックの上には、いろいろな種類の人間が....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
滑りこんできました。 「何者かッ」 というんで、自動車の方へ躍り出てみますと、
車上からは黒い鞄をもった紳士が降りてきました。待ちに待った小田原病院のお医者さん....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
たり。振り放さんと※けば、「さようでもあろうがそれが心得違いだ」と争うところへ、
車上の人も来られ、「万吉よく止めた、まだ若いにそう世を見かぎるものではない」と、....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
つくようにいう、悪髪結の垢じみた袷の肩は、どっきり震えた。 一たび母衣の中なる
車上の姿に、つと引寄せられたかと足を其方に向けたのが、駆け寄るお夏の身じろぎに、....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
ありたりという。電車にて市外に往返せるに、各戸庭前に数種の菊花を栽培せるありて、
車上観菊の遊をなすを得たり。 思ひきや同じ月日の照る国で、五月の頃に菊を見んとは....