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「車井戸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

車井戸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
も右門の胸により以上の不審を打たれたものは、それなるかまどの上の天井ぎわに見える車井戸の井戸車でありました。 「ふふん、このかまどの下は井戸だな」 慧眼《けい....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
の住まいです。広くとった庭にはけいこ弓の矢場がずっと奥までつづいて、そのこちらに車井戸、井戸にとなって物干し場、――ひょいと目を向けると、小春日のあたたかい日ざ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
た。 「どうも宗匠は飛んだことだったが、なにか心当りはありませんかえ」と、半七は車井戸の柱によりかかりながら先ず訊いた。 「どうもわかりません」と、其蝶はひくい....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
思われません。 古井戸の流しへ幸内を引摺って来て、そこへ突き放すと、神尾主膳は車井戸の綱へ手をかけてキリキリと水を汲み上げました。 「汝《おの》れが、汝れが」....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
を投げた、優しい姉さんのようにも思われた。余程どうかしていたんだね。 半壊れの車井戸が、すぐ傍で、底の方に、ばたん、と寂しい雫の音。 ざらざらと水が響くと、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
で米友を取巻いていた子供連が、面《かお》の色を変えて叫び出し、河岸に近いところの車井戸の井戸側へ集まりました。 今の物音でも知れるし、子供の泣き声でもわかる。....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
敷だ、躑躅ヶ崎の古屋敷もかなり化物じみていた」 と言っている時に、不意に、裏手の車井戸がキリキリと鳴りました。その音を聞くと、神尾主膳が急に慄《ふる》え上りまし....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、あなた」 お銀様は、また一本の針をつまみ上げました。 その時に、土蔵の前の車井戸の輪がギーッと軋《きし》りました。誰か水を汲みに来たものと見えます。その車....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
沙汰ではありません。五杯も十杯も十五杯も汲んでは被り、被っては汲み、その度毎に、車井戸の車がけたたましい音を立てて火の発するほどに軋《きし》ります。程遠からぬ庭....
窮理日記」より 著者:寺田寅彦
えている。我等が祖先のニュートンはいかにエライ者であったかと云う事を考えると隣の車井戸の屋根でアホーと鴉が鳴いた。 十二日 傘を竪にさす。雨は横に降る。 十....
六月」より 著者:相馬泰三
ことをして、ひどく叱り飛ばされているのなどもあった。彼のいるすぐわきのところに、車井戸のような仕掛けで受付から郵便物だの通信類だのと運び上げるものがあって、それ....
古井戸」より 著者:豊島与志雄
るように、実物以上の透き通った明瞭さで、まざまざと頭の中に残っていた。庭の有様、車井戸、井戸枠に腰掛けてる高島田の女、その女がすーっと下りてきて襟を締めつけたこ....
一週一夜物語」より 著者:小栗虫太郎
誘い散歩がてら出かけていった。が、側へゆくと、それは Masula という名の、車井戸だったのだ(この Masula というのは、あるいはこの地方の小舟の名であ....
女房ども」より 著者:神西清
字架がまずきらきらと燃え、やがてそれが窓に移り、庭先の露を置いた草のうえに木々や車井戸が影をひきはじめたとき、マトヴェイ・サヴィチは跳ね起きて、慌だしく駈け廻り....
春心」より 著者:田中貢太郎
をどこかへおっぽりだして来る」 広巳は庖厨口からゆるゆると出て往った。出口には車井戸があって婢の一人が物を洗っていた。車井戸の向うには一軒の離屋があった。それ....