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車内
「車内〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
車内の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
見入っているかのやせた男だった。男の名は木部孤※《きべこきょう》といった。葉子が
車内に足を踏み入れた時、だれよりも先に葉子に目をつけたのはこの男であったが、だれ....
「星座」より 著者:有島武郎
たびに、先客の喰荒らした広東豆(南京豆のこと)の殻が気味悪くつぶれて音をたてた。
車内の空気はもとより腐敗しきって、油燈の灯が震動に調子を合わせて明るくなったり暗くなったりした。....
「弓町より」より 著者:石川啄木
、新らしい詩の真の精神を、初めて私に味わせた。 「食《くら》うべき詩」とは電車の
車内広告でよく見た「食うべきビール」という言葉から思いついて、かりに名づけたまで....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ように、ずらりと繋って停留していた幾つとない電車は、大通りを廻り舞台。事の起った
車内では、風説とりどり。 あれは掏摸の術でございます。はじめに恐入っていた様子....
「妖術」より 著者:泉鏡花
を外から開けて、その女が、何と! 姿見から影を抜出したような風情で、引返して、
車内へ入って来たろうではないか。 そして、ぱっちりした、霑のある、涼しい目を、....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
じたが、今度はその数倍らしい。 ◯今日は三日月だが、罹災者の姿痛々しく、街頭や電
車内に見受ける。軍公務通勤者以外は切符を売らない。 ◯三月十日に焼けた区域は随分....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
ていた。 “――省線山手線内廻り線の池袋駅停り電車が、同駅ホーム停車中、四輌目客
車内に、人事不省《じんじふせい》の青年(男)と、その所持品らしき鞄(スーツケース....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
の山と深い谷間を流れる墨画のような谷川が見えて行く。スティームと人いきれで汚れた
車内の空気が窓外の景色で洗われたように思われた。瓢箪をさげて見る景ではない。もっ....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
を見て、気が変になったのじゃないかといっていたっけ、はははは。 「おう運転手君。
車内が真暗じゃないか。電灯はつかないのかねえ」 今になって気がついたことだが、....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
ていらしてよ。女が出る方がすらすらといきますからね」 アンが、そういったのは、
車内に於ける乗客取調べのことであろう。もちろん、仏にとっては、そんな煩わしいこと....
「火星兵団」より 著者:海野十三
いから、お乗りなさい。さあ、早く、早く」
千二は、運転手に腕をつかまれたまま、
車内の人となった。
はじめから、このりっぱな自動車に乗りたい心であったが、これ....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
。一本ずつ眼をくぎって行くプラットフォオムの柱、置き忘れたような運水車、それから
車内の誰かに祝儀の礼を云っている赤帽――そう云うすべては、窓へ吹きつける煤煙の中....
「暗号数字」より 著者:海野十三
「木村です。さあどうぞ」 と、柔味のある声音で呼びかけた。 帆村はそのまま
車内の人となった。 そして彼は、木村氏の案内によって築地の某料亭の門をくぐった....
「車中有感」より 著者:上村松園
汽車に乗ると、すぐ窓辺にもたれて、窓外の風景へ想いをはしらすわたくしは――実は
車内の、ごたごたした雰囲気に接するのを厭うためででもあった。 汽車の中は、ひと....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
ていると、電車がやってきた。私はふらりとそれに飛び乗った。電車が動き出してから、
車内をひとわたり見回すと、私の筋向かいに一見請負人らしい親分ふうの男が座っている....