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車前草
「車前草〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
車前草の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
ちもう少い。――荷車のあとには芽ぐんでも、自動車の轍の下には生えまいから、いまは
車前草さえ直ぐには見ようたって間に合わない。 で、何処でも、あの、珊瑚を木乃伊....
「みちの記」より 著者:森鴎外
は鳳山亭より左に下りたる処なり。そこへ往かんとて菅笠いただき草鞋はきて出でたつ。
車前草おい重りたる細径を下りゆきて、土橋ある処に至る。これ魚栖めりという流なり。....
「恩人」より 著者:豊島与志雄
聞かせた。西嵯峨野に近来妙な苔が発生して、其処には凡ての雑草が枯れつくして、只|
車前草《おんばこ》ばかりが繁茂する、そしてその苔は
車前草の下葉を地面に吸い附けて....
「三筋町界隈」より 著者:斎藤茂吉
紙を巻いて煙草のようなつもりになって喫んでいるのもあり、煙管を持っているものは、
車前草などを乾してそれをつめて喫むものもいる。その態は何か哀れで為方がなかったも....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
けた、犢《こうし》の炙肉《やきにく》の皿を差し出したが、これもまた、 「これは、
車前草《おんばこ》の擂菜《ピュウレ》でない!」という合唱的叫喚《シュプレッヒ・コ....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
。それは閑地《あきち》である。市中繁華なる街路の間に夕顔|昼顔《ひるがお》露草|
車前草《おおばこ》なぞいう雑草の花を見る閑地である。 閑地は元よりその時と場所....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
ず突出して支えたりした。これではならぬと強いて指を組み合せ、動く庭を睨み据えた。
車前草の間を蟻が右往左往しているのが眼の中に閃めきながら身体は右へ左へと転んだ。....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
私は雨の湿りに顫えたが、また、子供のように其処らを駈け廻りたくもなった。 「や、
車前草だ。素敵素敵。」 それは樺太事前草とでもいうのだろう。すばらしく大きな葉....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
よく熟睡した。 明くる十四日の昼頃、私達は西沢金山から山王峠を踰えて、道のべの
車前草の葉まで深紅に染った満山の紅葉を詠めつつ、再び戦場ヶ原の人となった。そして....