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「車寄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

車寄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
妙な話」より 著者:芥川竜之介
のだろう。あいつはそのまま改札口を出ると、やはりほかの連中と一しょに、夫の同僚が車寄《くるまよ》せから、自動車に乗るのを送りに行った。するともう一度後から、「奥....
わがまま」より 著者:伊藤野枝
なしに自分に対して忌々しくなってきて、そのまま無茶苦茶に歩いて出口の方へ行った。車寄のすぐ左の赤いポストが登志子の眼につくと、彼女は思い出したように引き返して袋....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
はり堀川のうちにあって、むかしは然るべき殿上人の住居であったのを無体に横領して、車寄せを駒寄せに作り変えたのであった。 「権右衛門、来たか。これへ。」 取次ぎ....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
まいと慮らせられたとか。帝には還幸の節、いろいろな御心づかいに疲れて、紫宸殿の御車寄せのところで水を召し上がったという話までが、景蔵からの便りにはこまごまと認め....
イオーヌィチ」より 著者:神西清
と思った次の瞬間、彼女の姿はもう馬車の中にはなくて、煌々と灯のともったクラブの車寄せ近くに立っていた巡警が、不愉快きわまる声でパンテレイモンをどなりつけた。―....
頸の上のアンナ」より 著者:神西清
書官首席になれるぞ。」 彼等は舞踏会へ出掛けた。そして金ぴかの門衛連が厳めしく車寄せに控えている貴族会館に着いた。玄関の広間は帽子掛けや、毛皮の外套や、紐でく....
墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
ゆる療法は、ことごとく試み尽しているであろうということであった。内玄関もあれば、車寄せの大玄関もある幽邃な庭園が紫折り戸の向うに、広々と開けている。車が玄関へ滑....
長崎の鐘」より 著者:永井隆
の葉一枚残らず姿を消しているではないか? ああ地球は裸になってしまった! 玄関車寄せに群がっていた人々は? と見おろす広場は、所狭いまでに大小の植木がなぎ倒さ....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
をひらき、まわりの雪をのけて桐箱入りの氷を駕籠にのせ、一ツ橋御門から入ってすぐ御車寄《おくるまよせ》まで行く。 車寄についたお雪の桐箱は、御側用人《おそばよう....
キャラコさん」より 著者:久生十蘭
ますわ……。ねえ、もう、五分だけ」 キャラコさんは、客間から駆け出して、玄関の車寄せのところまで行った。 「茜さん、あなたをひとりはずして始めるというわけには....
だいこん」より 著者:久生十蘭
正面《ファサード》が見えた。どの窓も明るくかがやいて白い大きな汽船のようだった。車寄せからすぐの白いポーチは、すらりとした優雅な円柱でささえられ、趣味のいい鉄金....
ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
レエ》を一軒ご周旋しようじゃありませんか。『極楽荘』っていうんですがね。総二階に車寄せなんかついて堂々たるもんですよ。生憎《あいにく》手元に写真がないんでお目に....
墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
したのではなく、老枢密顧問官の自発的厚意によるものだった。 竜太郎の自動車は、車寄せの正面へすべり込んだ。 竜太郎は予想だもしなかったこの境遇《シチュアショ....
魔都」より 著者:久生十蘭
》掴みにしたキャラコの手巾《ハンカチ》でやけに鼻面を引っこすり引っこすり、大幅に車寄の石段を踏み降りると、野暮な足音を舗道に響かせながらお濠端《ほりばた》の方へ....
一本の花」より 著者:宮本百合子
高い肩の間へ、首をちぢめるような恰好をした。 「母の名代を仰せ付かっちゃったの」車寄せへ出ると、 「あなた、真直ぐおかえり?」 洒落《しゃれ》た紙入れを持った....