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車線
「車線〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
車線の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
のだった。 そして、女への未練と、一刻も早く京都を逃げ出したい気持を、二本の電
車線路のように感じているうちに、電車は駅前についた。 駅前の広場を横切る北山の....
「党生活者」より 著者:小林多喜二
ジリ、ジリとベルが鳴って、向う側の電柱に赤が出た。それで私の乗っている自動車は停
車線のところで停まってしまった。直《す》ぐ窓際を色々な人の群がゾロ/\と通って行....
「鮨」より 著者:岡本かの子
れて火のあおりのあとを残しながら、半面に白い花をつけている。 庭の端の崖下は電
車線路になっていて、ときどき轟々と電車の行き過ぎる音だけが聞える。 竜の髭のな....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
その人でない俤をその人として夢みて行き度い願いは、なかなか絶ち難い。 左右の電
車線路を眺め渡して、越すときだけ彼女を庇うように片手を背後に添えていた逸作は、か....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
光りのレースを冠せたようなネオンの明りはだんだん華やいで来た。町並で山下通りの電
車線路の近くは、表町通りの熾烈なネオンの光りを受け、まるで火事の余焔を浴びている....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
た。普通は池の端から本郷台へ昇ってゆくのであるが、今夜の車夫は上野の広小路から電
車線路をまっすぐに神田にむかって走った。御成街道へさしかかる頃から、雷鳴と電光が....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
て満四年に垂んとする昔に果して清正公前に電車が開通していたかどうかと云う事は、電
車線が恰度その時分に新しく敷かれたのだから確に記憶していよう筈がない。所でもし電....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
ダンテの地獄の中にある、樹木になった魂を思い出し、ビルディングばかり並んでいる電
車線路の向うを歩くことにした。しかしそこも一町とは無事に歩くことは出来なかった。....
「三筋町界隈」より 著者:斎藤茂吉
なってその上を電車の通ったのは前々からであるが、震災後|街衢が段々立派になり、電
車線路を隔てた栄久町の側には近代茶房ミナトなどという看板も見えているし、浄土宗浄....
「光は影を」より 著者:岸田国士
ない、一切を彼と彼女から隔てる時と空間の象徴であつた。 阿佐ヶ谷まで、また、電
車線路を伝つて歩いた。貨物列車の警笛に、やつとわれに返るほど、彼は、なにやかやで....
「都の眼」より 著者:竹久夢二
歩きだしました。 「おいおい危い!」腕に青い布をつけた巡査がそう言って、留吉を電
車線路から押しだして、路よりもすこし小高くなった敷石の上へ連れていって、「電車に....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
海を見たことがないという山奥の子供でも汽車や自動車は見なれているという文化交通時代であるが、紀伊半島を一周する汽
車線はいまだに完成していない。また、紀州の南端から大台ヶ原を通って吉野へ現れるに....
「名古屋スケッチ」より 著者:小酒井不木
で、この支店を動かすことが出来なかつたゝめ、大津町筋を真直にすることが出来ず、電
車線路が歪んで居るところは、弁膜不全の心臓を見るやうである。赤煉瓦の建物など、ど....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
突をする。 加奈子とこの円タクとの交渉がまとまらなかったらと、その後に二台、電
車線路を越した向うに一台、形の違った円タクが客を奪ろうと隙をねらっている。 加....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
立ちどまって、左右を見廻しながら大袈裟に叫んだ。見ると今丁度人の出潮時らしい、電
車線路をはさんで明るく灯にはえた一筋路を、一方は寺町の方から、一方は神楽坂本通り....