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車蓋
「車蓋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
車蓋の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
え》は京の方角へむかって行った。 と思うと、白羽の矢が一つ飛んで来て、青糸毛の
車蓋《やかた》をかすめてすぎた。その響きにおどろかされて供の侍どもはあっと見かえ....
「舗道」より 著者:宮本百合子
退け時間が迫ってシトシト薄ら寒い小雨が降り出した夕暮のことだ。ミサ子は傘なしで、
車蓋の濡れ光るタクシーの流れを突切り、丸ビルへかけ込んだ。みどりの勤め先の堂本兄....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
降って来ました」 こう言ってお雪ちゃんは、東の空に濛々《もうもう》と立ちのぼる
車蓋《しゃがい》の如き雲を眺めながら、弁信の法衣《ころも》の袖にかかるヨナを、し....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
高くて、枝が上空に一むらをしているものですから、遠く望めば霊芝《れいし》の如く、
車蓋《しゃがい》の如く、庭へ出てみると、その高い枝ぶりは気持がいいのですが、この....
「三国志」より 著者:吉川英治
舂く陽のなかに黒くぽつんと見える一つの屋根と、そして遠方から見ると、まるで大きな
車蓋のように見える桑の木。劉備の生れた家なのである。 「どんなに自分をお待ちなさ....
「三国志」より 著者:吉川英治
に取りすがった。 そこを、董卓の家臣たちが、背から突き、頭から斬り下げたので、
車蓋まで鮮血は飛び、車の歯にも肉漿がかかって、赤い線がからまってぐわらぐわらまわ....
「三国志」より 著者:吉川英治
にして、生捕ることも易しと、張任は馬を打ってとびこみ、雑兵には目もくれず、あわや
車蓋のうえから巨腕をのばそうとしかけた。 「捕ったっ」 それは足もとの声だった....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
をつかみもどして、菊王が牛の足もとへ叩きつけたとき、車の尻に取ッついた兵どもも、
車蓋の内からふいに俊基の足蹴を食ッて、左右へ転び落ちていた。 「菊王っ。かまうな....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
くにも道を作るにも、そんな煩いがなかったのである。今もなお、颯々と、当時の清風は
車蓋を払って東京市の風とはだいぶ味がちがう。 武蔵塚という名称から想像して、そ....