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軋み
「軋み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
軋みの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
好なりに従って、分相応の食事をたらふくつめこんだり、また誰も彼もが役所でのペンの
軋みや、あくせくたる奔命や、自分のばかりか他人ののっぴきならぬ執務や、またおせっ....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
した。と、鈍い膜のかかったような影法師が現われて、廊下の長板が、ギイと泣くような
軋みを立てた。 いまや真夜中である。しかも、古びた家の寂《ひ》っそりとした中で....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
かと思ったが、車はそのまま真っ直ぐ天王寺の方へ走って行った。そのかすかなタイヤの
軋みを多鶴子ははっと不気味にききながら、 「方角がちがってよ。運転手さん! 引き....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
界なのだ。彼等は全く知らない。彼等が快い高鼾を掻いている間に、その枕許を起重機が
軋み、刑事に追われた泥棒が走り、ゴミ箱に睡るルンペンの心臓がハタと停り、死所を求....
「夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
、何処だろう)と、あっしァ、たしかに聴いた。キーイッ、カンカンカン、硬い金属が、
軋み合い、噛み合うような、鋭い悲鳴だった」 「大方、工場に、鼠が暴れてるんだろう....
「伸子」より 著者:宮本百合子
に向って何か叫んだ。運転手は、いそぎ両手で更に強くブレーキを締めた。電車はいやな
軋みを立てながら、勾配の急な坂路に不安定な位置に停った。 「何だ、どうしたんだ」....
「貧しき人々の群」より 著者:宮本百合子
したように打ち振り打ち振り、小枝は白い肌を生々しく引き裂かれて飛び、幹は苦しげに
軋み唸り、鋭い悲鳴をあげて揺れている。家屋の角ではぶつかる風がわめき、白い葉裏を....
「シベリヤに近く」より 著者:里村欣三
描いていた。 隊長は退屈で堪まらなかった。聞えるものは終日、油のきれた輜重車の
軋みと、ひき馬の鉄蹄と、鞭と、兵卒の怒号と、苦力の怒罵とであった。それが更に濛々....
「菊人形」より 著者:宮本百合子
て来る熊谷次郎の髪も菊の花でできた鐙も馬もいちように小刻みに震動しながら、陰気な
軋みにつれて舞台に姿を現して来るのだった。閑静な林町の杉林のある通りへ菊人形の楽....
「C先生への手紙」より 著者:宮本百合子
ざいませんが、兎に角、何か不具なところがある。そして、時々其が激しく油を切らして
軋み合います。 その恐ろしい騒音は、地上の何処へ行っても聴えるものではございま....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
まった。 自動車は、五分間ばかり止っていたと思うと、すぐエンジンの音を立てて、
軋み出る気配がして、やがて時々鳴らすサイレンが、だんだん遠くなって行った。 軽....
「博物誌」より 著者:岸田国士
ちそうになっている。彼は危うく倒れようとして、体を突っ張りながら前へのめる。彼は
軋み、そして止る。 すると、今度は大工たちがやって来る。 彼らは天主堂のこの....
「みやこ鳥」より 著者:佐藤垢石
。生きて行けないと思った。寺の門を、しょんぼりと出ながら、淀川の鉄橋の上を物凄い
軋みを立てて走る電車の突進するさまを眼に描いた。死ぬには、電車がひと思いでいい。....
「黄八丈の小袖」より 著者:岡本綺堂
夜に限って急に怖気立った。彼女は慌てて俯伏して再び衾を被っていると、枕もとの襖が
軋みながらに明いた。長い裾を畳に曳いているらしい衣の音が軽く聞えた。怖いもの見た....
「哲学の現代的意義」より 著者:戸坂潤
然だ。観念の秩序づけと体系づけ・組織編成・は、この観念の発達の歴史の内を、氷河が
軋みながら移行するように流れているのだ。ここに理論というものがあり、そこに方法と....