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「軋む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

軋むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
雛がたり」より 著者:泉鏡花
が咲乱れた桜の枝を伝うようで、また、紅の霞の浪を漕ぐような。……そして、少しその軋む音は、幽に、キリリ、と一種の微妙なる音楽であった。仲よしの小鳥が嘴を接す時、....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
剥いだ時に、突然彼は、何者かに額を蹴られて床に倒れた。それと同時に、垂幕の鉄棒が軋む響が頭上に起って、検事の胸を目掛けて飛んだ固い物体があった。彼は思わずそれを....
放浪の宿」より 著者:里村欣三
以外の何物でもなかった。 大腿部の関節に、短刀の刃が食い込んで、骨と刃物の音が軋むと、ぼろりと訳もなく肢が完全に離れた。ここまで一気に、見事な冴えを短刀の刃さ....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
るのか――ぐしょ濡れで裾から雫が垂れるから、骨を絞る響であろう――傘の古骨が風に軋むように、啾々と不気味に聞こえる。 「しいッ、」 「やあ、」 しッ、しッ、し....
南地心中」より 著者:泉鏡花
に投げて手枕した。 その時は、別に変った様子もなかった。 多一が次第に、歯も軋むか、と声を絞って、 「葉越しの葉越しの月の影、松の葉越の月見れば、しばし曇り....
黒百合」より 著者:泉鏡花
方なしにお雪は微笑む。 「お邪魔をしましたな。」という声ぎっすりとして、車の輪の軋むがごとく、島野は決する処あって洋杖を持換えた。 「お前ねえ、」 邪気|自か....
ガリバー旅行記」より 著者:スウィフトジョナサン
四時間ばかりたゞよっていました。ところが、この箱の窓のない側に、そのときふと何か軋むような音が聞えました。それから間もなく、何か私の箱が、海の上を引っ張られてい....
ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
らず、威勢のよい調子の、軽やかな奇妙なものであった。ヘンリー・ジーキルの重々しい軋むような足取りとは全く違っていた。アッタスンは溜息をついた。「ほかに何も変った....
母の上京」より 著者:坂口安吾
不覚にねむつてしまつた。 ふと目が覚めると、彼の全身は臓腑まで冷え、重く節々の軋むやうな疼痛が全身にしがみついてゐるのである。たゞ喉だけが焼けたゞれて自然に口....
博物誌」より 著者:岸田国士
外には、なんの気配もない。 しかし、彼はまだ安心できないらしい。 で、滑車の軋む鎖で、地の底へ降りる。 あとはなんにも聞えない。 静まり返った野原には、....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
じい音は、巻立ち狂う波の音で、キキー、キキーと物悲しい、咽ぶような物の音は、船の軋む音であった。空を仰げば黒雲湧き立ち、電光さえも加わった。凄じい暴風雨となった....
隠亡堀」より 著者:国枝史郎
衛門のことなど、これからは勘定に入れますまい」 此処で声が一時止んだ。 骨の軋む音がした。 板戸を隔てた二つの死骸がどうやらキッスをしたらしい。 ユラユ....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
風加わり、忽ち霧しぶき立つと見れば、船頭たち、驚破白山より下すとて、巻落す帆の、軋む音骨を裂く。唯一人おわしたる、いずくの里の女性やらむ、髪高等に結いなして、姿....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
の渇く母親に、小さく堅めて雪を口へ入れたんだけれど、降たての雪はばさばさして歯に軋むばかりで、呼吸を湿らせるほどの雫にならない。氷がないんだよ。甘露とも法雨とも....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
を洩る雨のように滋く落ちて、縮めた首筋から脊中へかけてびっしょり濡れる。ゴトゴト軋む破片岩の長い階段を越えて河原に立つと、正面に眉を圧して猫又谷の大雪渓が、奔騰....