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軋る
「軋る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
軋るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
返して居たが、何だか泣きそうな顔になった。 その内別荘へ知らぬ人が来て、荷車の
軋る音がした。床の上を重そうな足で踏む響がした。クサカは知らぬ人の顔を怖れ、また....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
の蹴込み、友染の背当てした、高台細骨の車があった。 あの、音の冴えた、軽い車の
軋る響きは……例のがお出掛けに違いない。昨日東京から帰った筈。それ、衣更えの姿を....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
三人に床几を貸した古女房も交って立つ。 彼処に置捨てた屋台車が、主を追うて自ら
軋るかと、響が地を畝って、轟々と雷の音。絵の藤も風に颯と黒い。その幕の彼方から、....
「春昼」より 著者:泉鏡花
か。」 「真箇ですね。」 「昔、井戸を掘ると、地の下に犬鶏の鳴く音、人声、牛車の
軋る音などが聞えたという話があります。それに似ておりますな。 峠から見る、霧の....
「雛がたり」より 著者:泉鏡花
の下枝に搦む。 私は愕然として火を思った。 何処ともなしに、キリリキリリと、
軋る轅の車の響。 鞠子は霞む長橋の阿部川の橋の板を、あっちこっち、ちらちらと陽....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
が駆出したか、不埒にして雲助どもが旅の女を攫ったのかも分らない。はた車の輪の疾く
軋るや、秋の夕日に尾花を燃さないと誰が言おう――おかしな事は、人が問いもしないの....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
敷のようになってしまったキャバレー・エトワールの地下室の方角にギーイと、堅い物の
軋るような物音が聞えた。エトワールの表と裏とには、制服の警官が張りこんでいるのだ....
「夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
貰っての帰りさ、通り懸ったのが今話しの第九工場の横手。だしぬけに、キーイッという
軋るような物音を聴いた。(オヤ、何処だろう)と、あっしァ、たしかに聴いた。キーイ....
「流線間諜」より 著者:海野十三
すると、また別の、まるで地下に滅入るような音楽が起って来た。――ギギィッという
軋るような音がして、途端に一同の目の前の床が、畳一枚ほどガッと持ち上ってきたと思....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
をさして落着いて踊っている一組に、通りかかりの人がまばらに拍手を送る。 電車の
軋る音、乱れ足で行き違う群集の影。たそがれの気を帯びて黒い一と塊りになりかけてい....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
曲り道の急|角度に出会うと運転手は急に制動機をかけます。あの強い反動と、歯止めの
軋る音は、今まで快速力を楽しんでいた乗客には、かなり不快なことに違いはありません....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
のみで、籬の上方にはすでに闇が迫っていた。そして、時々合間を隔てて、ヒュウと風の
軋る音が虚空ですると、鎧扉が佗しげに揺れて、雪片が一つ二つ棧の上で潰げて行く。
....
「遊動円木」より 著者:葛西善蔵
して、だんだん強く強く揺り動かして行った。おお何というみごとさ! ギイギイと鎖の
軋る音してさながら大濤の揺れるように揺れているその上を、彼女は自在に、ツツツ、ツ....
「俊寛」より 著者:菊池寛
身を剥がすようにして立ち上った。立ち上るとき、身体のもろもろの関節が、音を立てて
軋るように思った。彼は、それでも這うようにして、岸壁を降りることができた。彼は昼....
「俳優と現代人の生活(対話Ⅴ)」より 著者:岸田国士
すから、この間の「ママの貯金」はその意味から言つて、演技そのものはどこかやつぱり
軋るようなところを見せている。まだどことなくのびのびとした豊かな所は出ていません....