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軍手
「軍手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
軍手の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「おしゃれ童子」より 著者:太宰治
仲々無いので、しまいには、生地は、なんであっても白手袋でさえあればという意味で、
軍手になりました。兵隊さんの厚ぼったい熊の掌のように大きい白手袋であります。なに....
「猫車」より 著者:宮本百合子
は泣くようにも見えるのであった。 「只今かえりました」 オバオール姿の正一が、
軍手をぬぎながら土間へ入って来た。 「さ、すぐ湯へおいり」 正一が湯上りの若々....
「三月の第四日曜」より 著者:宮本百合子
りもここに待っていていいんでしょうか」 「え?」 「そりゃ常磐線だ」 別の男が
軍手の片手で、 「あっちのホームだ、あっち」 「ここを一旦出てね、右の方へあがる....
「昔の火事」より 著者:宮本百合子
掘っている。中学生もよく来た。あらまし人夫に黒土を掬い出させたあとは、この連中が
軍手をはめた手に園芸用のシャベルをもって、用心しいしい深さ一尺ぐらいで長方形をし....
「オンチ」より 著者:夢野久作
した菜葉服の男が、新しい地下足袋を踏み締め踏み締め、殺気立った足取で跟いて来る。
軍手を穿めた手にステッキ位の黒い棒をシッカリと構えているが、腰を屈げているので背....
「空襲警報」より 著者:海野十三
たが、非国民とはなんだ。おれはこんなに貧乏して、ゴム靴の修繕をやり、女房は女房で
軍手の賃仕事をしているが、これでも立派に日本国民だッ。まじめに働いているのがなぜ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
もって来たおっさんが帽子とって、こちらも御出征でとあいさつしてゆきました。そして
軍手を三つばかりほしいって。 きょうは今迄のうち一番夏らしい日なのですが、こっ....
「生活」より 著者:林芙美子
はたびたびのことだ。炭籠をさげて裏へ出て行くと、寒くて震えあがってしまう。だけど
軍手をはめて、がらがらと炭俵《すみだわら》をゆすぶって、炭を一つ一つとつまんでい....
「穴」より 著者:蘭郁二郎
の手袋のような手で、シッカリ握っていた――実に怕かったそうです。検車係が仕事用の
軍手が置いてあるのかと思って、ひょいと取ろうとしたら関節からすっぽり抜けた若い女....
「鴻ノ巣女房」より 著者:矢田津世子
がむずかしくなったところから、とかく商いも不如意がちになり、それかといって今さら
軍手や割烹着類を店ざらしにするような小商人になり下がるくらいならと依怙地な老主人....