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軍靴
「軍靴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
軍靴の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「未帰還の友に」より 著者:太宰治
これは僕の所謂《いわゆる》「賢察」も及ばぬところであった。 ざッざッざッという
軍靴の響きと共に、君たち幹部候補生二百名くらいが四列縦隊で改札口へやって来た。僕....
「さようなら」より 著者:田中英光
人々を傷つけたが、その戦闘後、自分の殺した生温かい中国の青年の死体の顔を、自分の
軍靴で不思議そうに蹴起しながら、いつも、「さようなら」とだけは心中に呟くことがで....
「野狐」より 著者:田中英光
を理解して頂戴」 ああ、これが私との逢いはじめに、私が、ボロボロのジャンパーに
軍靴をはき、「ぼくは身なりをあまりかまわない男ですよ。それに貧乏作家で、あなたに....
「播州平野」より 著者:宮本百合子
てきいていたが、 「はア、たまげたね。まあ、無えつうもんはまず無えな。毛布だれ、
軍靴だれ、石油、石鹸、純綿類から、全くよくもああ集めたったもんだ。民間に何一つ無....
「夜の靴」より 著者:横光利一
頭をした、眼の細く吊り上っている、気の弱そうな正直くさい童顔の男であった。大きな
軍靴を穿いているところを見ると復員らしい。円顔で、おとなしい口もとが少し出ていて....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
時々、破裂音がお腹の皮をよじり、生徒の泣き声がしていた。私は、ふと傍に泥のついた
軍靴を発見した。主任教師である。私の下から見上げた視線と、彼の黒ぶちの眼鏡越しに....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
の手紙によると、郡山の東に何里もある飛行場が出来かかっているそうです。トラックと
軍靴の音が北へ北へと響くそうです。ずいぶんかわって来たとおどろかれます。 九月十....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
どもシサイに見ると、いかがわしいところがあった。 今もって、すりへってイビツな
軍靴をはいている。何十ぺんツギをあてたか分らぬような、雑巾のような靴下をはいてい....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
軍が江戸をさして攻めのぼってきた時であった。山ちかい辺地とても、流言のざわめき、
軍靴の恐怖はたちこめている。農民とても、安閑としてはいられない気持であるが、特に....
「樹氷」より 著者:三好十郎
)それから杉夫、お参りしなさい。 杉夫 はあ。……(墓に水をかける)お母さん!(
軍靴のカカトをカチッと鳴らしてから低い声で)一週間前に復員して参りました。こうし....
「胎内」より 著者:三好十郎
なるらしい。……頭をブルンと振る)……いや、今の、この……いや、もっと、この……
軍靴《グンカ》ですからねえ、クギがついているから、ここんとこなんぞ――(いいなが....
「押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
――ついに佐太郎はしびれをきらして、折り敷いた熊笹から腰を上げた。丘を降りた重い
軍靴の音が、家の戸口から薄暗い土間に消えて行つた。 源治たちより一足先に田圃か....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
で結党大会を開いた。私はこのとき司会者をつとめたが、会場を見渡すといずれも軍服、
軍靴のみすぼらしい格好ながら同じ理想と目的のため、これほど多くの人々が全国からは....