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軒下
「軒下〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
軒下の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
一日前に数学を教える桐山《きりやま》教官のお父さんの葬列の通った時にも、ある家の
軒下《のきした》に佇《たたず》んだ甚平《じんべい》一つの老人などは渋団扇《しぶう....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
の外へ逃げ出しました。
しかし半町《はんちょう》ほど逃げ延びると、わたしはある
軒下《のきした》に隠れながら、往来の前後を見廻しました。往来には夜目にも白々《し....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
。襟からは、水がはいる。途方に暮れていた際だから、李は、廟を見ると、慌てて、その
軒下へかけこんだ。まず、顔の滴をはらう。それから、袖をしぼる。やっと、人心地がつ....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
》に、辻《つじ》の角は広々と、白く積った中を、道の程《ほど》八町ばかりで、とある
軒下《のきした》に辿《たど》り着いたのが名指《なざし》の香取屋。
床《とこ》に....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
砂《もりずな》して、門から新筵《あらむしろ》を敷詰《しきつ》めてあるのを、向側の
軒下に立って視《なが》めた事がある。通り懸《がか》りのお百姓は、この前を過ぎるの....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
を赤らめて、黙って俯向いて俯目になった。口許より睫毛が長く、日にさした影は小さく
軒下に隠れた。 コトコトとその洋傘で、爪先の土を叩いていたが、 「御免なさい。....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
す。このポリスが出来るまでは、江戸中は無警察のようでした。今商家などに大戸の前の
軒下に、格子の嵌めてある家の残っているのは、この時に格子を用心のために作ったので....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
こと言いなさんす。」と言う処へ、月は片明りの向う側。狭い町の、ものの気勢にも暗い
軒下を、からころ、からころ、駒下駄の音が、土間に浸込むように響いて来る。……と直....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
だれに帯板へ下りようとする角の処で、頬被した半纏着が一人、右側の廂が下った小家の
軒下暗い中から、ひたひたと草履で出た。 声も立てず往来留のその杙に並んで、ひし....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
。 目も夜鳥ぐらい光ると見えて、すぐにね、あなた、丼、小鉢、お櫃を抱えて、――
軒下へ、棚から落したように並べて、ね、蚊を払い(おお、飯はからだ。)(お菜漬だけ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
い天気の、この日も、午飯すぎると、日向に古足袋の埃を立てて店を出たが、ひょこりと
軒下へ、あと戻り。 「忘れものですか。」 「うふふ、丸髷ども、よう出来たたい。」....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
したの? と飛ついて、鬢の毛のほつれた処へ、私の頬がくっついた時、と見ると向うの
軒下に、薄く青い袖をかさねて、しょんぼりと立って、暗くなった山の方を見ていたのが....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
て吻と息。 八 「小児衆ですよ、不可ません。両方から縄を引張って、
軒下に隠れていて、人が通ると、足へ引懸けるんですもの、悪いことをしますねえ。」 ....
「燕と王子」より 著者:有島武郎
秋の空は高く晴れて西からふく風がひやひやと膚身にこたえます。今日はある百姓の
軒下、明日は木陰にくち果てた水車の上というようにどこという事もなく宿を定めて南へ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
はどんと身を落して、突立って土間へ下りた。 溝石で路を劃って、二間ばかりの間の
軒下の土間に下りた、蔵人は踏留まるがごとくにして、勇ましく衝と立ったが、秋風は静....