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軒店
「軒店〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
軒店の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鼻」より 著者:ゴーゴリニコライ
しい女という女を片っ端から追っかけまわしていたものだ。そればかりか、一度などは百
軒店《ゴスチンヌイ・ドゥオール》の或る店先に立ちどまって、何か勲章の綬のようなも....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
枚でも買ってやらねば義理が悪いのだが、我慢してひたすら貯金に努めた。もう一度、一
軒店の商売をしなければならぬと、親の仇《かたき》をとるような気持で、われながら浅....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
《おおでんまちょう》、そこから左へ曲がると、もう雛市《ひないち》の始まっている十
軒店《じゅっけんだな》の通りでした。その突き当たりが今川橋、――渡って、土手ぞい....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
るといわぬばかりに、みどり子をひしと抱きながら、泣きなき歩きつづけました。――十
軒店《じゅっけんだな》を左に折れて俗称願人坊主の小路といわれた伝右衛門《でんえも....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
としているのを見て、大夫人が、 「野蛮だね。」 と嘲笑って、車夫に指揮して、一
軒店を開けさして、少時休んで、支度が出来ると、帰りは船だから車は不残帰す事にして....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
強におし黙って駕籠を急がせながら、やがて乗りつけたところはその人形町名どころの十
軒店です。――むろん、十
軒店はここをせんどと雛人形を飾りつけ、見に来た者、買いに....
「縮図」より 著者:徳田秋声
られて上野を立ったのは十日ごろであった。父はその金は一銭も無駄にはせず、きっと一
軒店をもつからと銀子に約束し、権利金や品物の仕入れの金も見積もって、算盤を弾いて....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
御座いかな」という言葉が流行った位だ。 売声で今一つ明治前に名高かったのは、十
軒店の治郎公というのが、稲荷鮨を夜売り歩いた。この治郎公は爺でしたが、声が馬鹿に....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
中心地とすると、人形町の名がどうやらわかってくる。人形屋もありはあったが、室町十
軒店《むろまちじっけんだな》の方が有名でもあり、数も多い。ここの人形商はおやま商....
「梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
を持って、好く往来で芸をして銭を貰っていたのを覚えている。美音で思い出したが、十
軒店にも治郎公なぞと呼んでいた鮨屋が、これも美い声で淫猥な唄ばかり歌って、好く稲....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
、め――」 と火をぱたぱた煽《あお》ぐ音をさせたり、 「いなりさん――」 と、十
軒店《じっけんだな》の治郎さんの、稲荷鮨《いなりずし》が流してくるようにならなけ....
「神経」より 著者:織田作之助
言えば、ものの一方しか見ぬリアリティのない文章なのだ。「花屋」の壕舎も「波屋」の
軒店もただ明るいというだけでは済まされぬ。むしろ悲しい大阪の姿かも知れない。私は....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
しかにどっかのてるてる坊主がきいたんだとあっしゃあ白眼《にら》んでいますのさ。十
軒店の御連中は四つ前の寅の日にわあってんで出かけやしたがね、お台場へ行き着くころ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
母上はいうまでもありませんが、生命がけで大事にしているお雛様がありますよ。 十
軒店で近頃出来合の品物じゃあないんだそうで、由緒のあるのを、お夏さんのに金に飽か....
「日本橋附近」より 著者:田山花袋
明るい都会に到達する過渡期だったわけですね』こんなことをいってNは笑った。 十
軒店があそこでひとつの巴渦を巻いているのは面白い。時の変遷につれて、あの魚河岸で....