軟化[語句情報] »
軟化
「軟化〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
軟化の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
、いつか「熟考して見ましょう。」が「いずれ年でも変りましたら。」などと、だんだん
軟化致し始めました。そうしてその年の変った明治二十六年の初夏には、いよいよ秋にな....
「或る女」より 著者:有島武郎
思えた。そこを自分の才力で丸めるのが時に取っての興味のようにも思えた。もし古藤を
軟化すれば、木村との関係は今よりもつなぎがよくなる……。
三十分ほどたったころ....
「佐渡」より 著者:太宰治
すから、どうぞ、めしあがって下さい。芸者衆でも呼びましょうか。」 「そうね。」と
軟化した。 小さい女が、はいって来た。君は芸者ですか? と私は、まじめに問いた....
「牛肉と馬鈴薯」より 著者:国木田独歩
に愛嬌《あいきょう》を含めて凝然《じっ》と睇視《みつめ》られるなら大概の鉄腸漢も
軟化しますなア。ところで僕は容易にやられて了ったのです。最初その女を見た時は別に....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
、僕は築地のその台華社へ行った。彼は僕に「白柳秀湖だの、山口孤剣だののように、」
軟化をするようにと勧めた。国家社会主義くらいのところになれと勧めた。そうすれば、....
「正義と微笑」より 著者:太宰治
っちゃいないんだけど、だけど、姉さんの気持も、わかるような気がするよ。」ちょっと
軟化したみたいな振りをして見せた。 「何を言うことやら。」叔母さんは、せせら笑っ....
「路傍の草」より 著者:寺田寅彦
ると肥料に食傷して衰滅するかもしれない。貧乏のうちは硬骨なのが金持ちになって急に
軟化するようにともかくも
軟化しそうである。そのかわりそれらの草の実がだんだん発育....
「三十年後の世界」より 著者:海野十三
いた。しかもこの弾丸は、この熱の発生と共に弾丸の外側がぐにゃりとしたゴムのように
軟化し、あたった物にぺったりと付着するのであった。そうして、叩き落とそうとしても....
「海底都市」より 著者:海野十三
いているようね」 そんな声が僕の耳にちらちらと、はいった。どうやら相手の中に、
軟化《なんか》のしるしが見え始めた。が、安心するのは、まだ早かった。 「こいつは....
「不沈軍艦の見本」より 著者:海野十三
を一度|喰えば、あたかも阿片において見ると同じ麻痺的症状を来し、絶対的人間嫌いが
軟化し、相対的人間嫌いと変るという文字通り苦肉の策を含んだものであった。果してそ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
いろの種類の生徒たちの間に、共通の話題になったのは次郎のことであった。 「本田は
軟化した。自分で血書を書いておきながら、県庁で父兄会があってからは、一所懸命でみ....
「決闘」より 著者:神西清
萄酒を命じた。それを一杯ずつ飲んだとき、ラエーフスキイがだしぬけに訊ねた。 「脳
軟化症というのはどんな病気かね。」 「それは、さあ何と言ったらいいかな――つまり....
「丹那山の怪」より 著者:江見水蔭
伽に侍せしめようとするが、決してこれと親しく語り合うてはならぬ。そうすると必らず
軟化させられて、知らず知らず領内の者に買収されて、豊作でも凶作のように、虚偽の報....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
ウナギのようにぬらりくらりするばかりで手に入らない難攻不落のソネートカも、とみに
軟化の色を見せはじめた。 「ねえ、お前さんいつぞやあたしのことを怨んだっけが」と....
「正に芸術の試煉期」より 著者:小川未明
する。それには、困苦と闘争が予想されるからだ。芸術の権威は、彼等によって、すでに
軟化される。そして、表現されたものは芸術本来の姿ではなくして、畢竟自己の趣味化さ....