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転び
「転び〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
転びの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
瓜わらべとは、猫が毬《まり》を弄ぶように、また、老牛が狼に食《は》まれるように、
転びつ、倒れつ千態万状を尽して、戯れ狂った。初冬の風が吹いて満山の木が鳴った。翁....
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
い》の細長い庭には植木も少しはあった。彼は仕事に疲れると、この縁へ出て仰向けに寝
転び、都会の少し淀《よど》んだ青空を眺めながら、いろいろの空想をまどろみの夢に移....
「寒の夜晴れ」より 著者:大阪圭吉
いくの字型にひん曲って投出されていた。部屋の中も又、激しく散乱されていた。椅子は
転び、卓子はいざって、その上に置いてあったらしい大きなボール紙の玩具箱は、長椅子....
「河明り」より 著者:岡本かの子
に見るまでもなく、これ等のすべてが婚礼支度であることは判る。私はそれ等の布地を、
転び倒れているものを労り起すように 「まあ、まあ」と云って、取上げてみた。 生....
「空襲警報」より 著者:海野十三
てしまうものなのか? 旗男は、命からがら、この殺人境からのがれ出た。いくたびか
転びつつ前進してゆくほどに、やがて新しい道路に出たと思ったら、いきなり前面に、ピ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
その蛇のような光る影も、向かわって、また私の出途へ映りましたが、兎はくるくると寝
転びながら、草の上を見附けの式台の方へ参る。 これが反対だと、旧の潜門へ押出さ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
ら、つい口へ出してお尋ね申すことも出来ませんし、それに、あの、こないだ総曲輪でお
転びなすった時、どうも御様子が解りません、お湯にお入りなさいましたとは受取り難う....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
、竹草履、それは雪の凍てた時、こんな晩には、柄にもない高足駄さえ穿いていたのに、
転びもしないで、しかも遊びに更けた正月の夜の十二時過ぎなど、近所の友だちにも別れ....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
二 「どうなるのだろう……とにかくこれは尋常事じゃない。」 私は幾度となく雪に
転び、風に倒れながら思ったのであります。 「天狗の為す業だ、――魔の業だ。」 ....
「取舵」より 著者:泉鏡花
しかろ。」 「はい、はい、難有うございます。これは結構で。」 学生はその側に寝
転びたる友に向いて言えり。 「おい、君、最少しそっちへ寄ッた。この爺様に半座を分....
「多神教」より 著者:泉鏡花
丈高に突立上り、お沢の弱腰を※と蹴る)汚らわしいぞ! 罰当り。 お沢 あ。(階を
転び落つ。) 神職 鬼畜、人外、沙汰の限りの所業をいたす。 禰宜 いや何とも……....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
ないが酒はあるてって、引摺り入れた役雑とね。 もう一人は車夫でさ。生れてから七
転びで一起もなし、そこで通名をこけ勘という夜なし。前の晩に店立てをくったんで、寝....
「秋の修善寺」より 著者:岡本綺堂
へ来たのは没怪の幸であった。帰りは下り阪を面白半分に駈け降りると、あぶなく滑って
転びそうになること両三度。降りてしまったら汗が流れた。 山を降りると田甫路で、....
「活人形」より 著者:泉鏡花
とうない、死にとうない。親を殺した敵と知っては、私ゃ殺されるのは口惜い。と伏しつ
転びつ身をあせりぬ。 得三は床柱を見て屈竟と打頷き、やにわに下枝を抱き寄せ、「....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
秋が来る。山風が吹き颪す。欅や榎の葉が虚空へ群がってとびちる。谷川の水が澄みきって落栗が明らかに
転びつつ流れてゆく。そうすると毎年私の好奇心が彼の大空へ連なり聳えた山々のふとこ....