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「転身〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

転身の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
彼の手に取られなかった。が、彼は本の上に何度も笑ったり泣いたりした。それは言わば転身だった。本の中の人物に変ることだった。彼は天竺《てんじく》の仏のように無数の....
十五年間」より 著者:太宰治
こでは、人の生死さえ出鱈目である。太宰などは、サロンに於いて幾度か死亡、あるいは転身あるいは没落を広告せられたかわからない。 私はサロンの偽善と戦って来たと、....
縮図」より 著者:徳田秋声
るのが、夙くから世間へ放り出されて、苦しんで来た彼女の強味で、諦めもよかったが、転身にも敏捷であった。今まではこの世界から足を洗いたいのが念願で、ましてこの商売....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
ないという焦燥に駆られながらも、危ない断崕に追い詰められているような現実からどう転身していいかに迷っていた。彼は飛んでもない舞台へ、いつとなし登場して来たことを....
惜別」より 著者:太宰治
仙台時代の追憶を書き、それにもやはり、その所謂「幻燈事件」に依って医学から文芸に転身するようになったと確言しているそうであるが、それはあの人が、何かの都合で、自....
思想としての文学」より 著者:戸坂潤
まるものだろうが、とに角少なくとも、科学的範疇では絶対にない。メタモルフォーゼ(転身=変態)や親和力の観念あたりは、科学的想像と文学的想像との境界地帯に横たわっ....
世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
わりの貼札を出したものが、決して少なくはないのだ。 尤も『朝日新聞』がこうした転身を少なくとも一時遂げねばならなかったのは、実はつまり『朝日』が代表的な新聞ら....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
が懸って、住宅の根元の雑草にBO・BOと驢馬の鳴く晩だった――が、ドン・ホルヘに転身してこのマドリイの宿ときめたのが、商業街の心臓モンテイロ街のいま居る家だった....
現代小説展望」より 著者:豊島与志雄
い。そして人間にあっては畢竟、「小我」こそ自己であって、「大我」はその「小我」が転身したものではなく、現実に対する態度からいつしか習得された頭脳の一の働きに過ぎ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
少しも変化しなかった。ただ一つの気晴らしがふえたにすぎなかった。 彼女の一日は転身の連続だった。非常に遅《おそ》く午《ひる》ごろに起き上がった。不眠症にかかっ....
『出家とその弟子』の追憶」より 著者:倉田百三
迷惑だ。私はひとつの境地から、他の境地へと絶えず精進しつつあるものだ。そしてその転身の節目節目には必ず大作を書いているのだ。愛読者というものはそれでなくては作者....
推理小説論」より 著者:坂口安吾
どの濫作をして、一作毎に工夫があり、トリックにマンネリズムが殆どなく、常に軽快な転身は驚くばかりである。文章も軽快、簡潔であって、謎ときゲームの妙味に終始し、そ....
調査機関」より 著者:中井正一
こで、このような生活に見きりをつけて、適当なチャンスに官界や実業界や新聞社などへ転身した悧巧者は少なくない。学力を認められて大学へ迎えられた者もある。専門家とし....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
というものが取り除かれる。そうなると今までは私のものであった「雪間の春」が直ちに転身して、ひろびろとした自由の世界の空気を呼吸する。その一部分を譬えていえば、ひ....
火の扉」より 著者:岸田国士
題などを論じ、自分の生活ということで頭がいつぱいなのをみて、市ノ瀬は、現役将校の転身とはこういうものかと思つた。中園は中園で、市ノ瀬の見かけによらぬ複雑な考えに....