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「軸物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

軸物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
に寝かされたが、どうしたかげんでか気味が悪くてたまらなくなり出した。暗い床の間の軸物の中からか、置き物の陰からか、得体《えたい》のわからないものが現われ出て来そ....
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
窓に明るいので女房は屏風を立て廻してくれた。次郎左衛門のうしろの床の間には、細い軸物《じくもの》の下に水仙の一輪挿しが据えてあった。二人は女房や女中の酌で酒を飲....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
が、それにしても場所が床の間でござりますそのうえに、このとおり、かかっている品が軸物でござりますゆえ、見つけたときはぎょうてんいたしまして、腰をぬかさんばかりに....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
るんですかい」 「あたりめえよ。ひと口にいや、小欲が深すぎるんだよ。だから、あの軸物をもらったんで、もらうものならなんでもござれとばかり、ほくほくもので有頂天に....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
道具棚の方へ廻って参いりました。 長「お父さま」 作「残らず仕舞ったか」 長「お軸物は皆仕舞いました」 作「客は皆道具を誉めたろう」 長「大層誉めました、此の位....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
ていたところだ。心をこめた記念の二品は三宝に載せて床の間に置いてある。先祖伝来の軸物などは客待ち顔に壁の上に掛かっている。 七郎左衛門の家には、三浦氏から山上....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
を誘われていた。 夕飯と入浴とをすました後、伊之助は峠の組頭が置いて行った例の軸物を抱いて、広い囲炉裏ばたの片すみから二階への箱梯子を登った。 「お父さん。」....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
夕涼みがそろそろ引込んでしまう。 以前、私の家では、かかる季節には必ず床の間の軸物が取かえられた。初秋に出る掛物は常に近松の自画自讃ときまっていた。それは鼠色....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
飛出したんです、――今申訳をします。待って下さい。どうも、何しろ、周囲が煩い。」軸物も、何もない、がらん堂の一つ道具に、机わきの柱にかけた、真田が短銃の両提。 ....
次郎物語」より 著者:下村湖人
一度は二階に上って、箪笥や長持の中を覗いた。そして、いつもその中から、刀剣類や、軸物や、小箱などを、いくつかずつ取出して風呂敷に包んだ。 次郎には、それが何を....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
「妓に与ふ」と題した自作の歌を自書して、簡単に表装したのを壁にかけてある。その軸物におりおり眼をやって、盞をふくむ。酒を飲んでくつろげばくつろぐほど胸元がはだ....
次郎物語」より 著者:下村湖人
先生のあとについて、二階にあがった。八畳の、天井の低い部屋で、床の間はあったが、軸物一つかかっていなかった。安物の机が一脚と、その上に四五冊の数学の参考書を立て....
再度生老人」より 著者:佐左木俊郎
あったが、この二人は半里ほどはなれた町に住ませて置いて、自分一人植木を弄ったり、軸物の観賞したり、彫りものを眺めたり、まるで退屈で困る顔をしているので、或る女―....
最初の出品画」より 著者:上村松園
静寂な気分を漂わせた。最後に冬になると、もうずっと年配のいった一女性が雪中の絵の軸物を見ているところを描いたものであった。 どんなところから「四季美人図」の題....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
いい静かな婦人です。一燈園の二階の婦人の室には大小をはさんだりっぱな武士の絵姿を軸物にして懸けてあります。これは勝淳さんの祖父の肖像だそうです。私が一燈園にかえ....