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軽捷
「軽捷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
軽捷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恩を返す話」より 著者:菊池寛
もある。 しかし、惣八郎は無事息災であった。事変の起りやすい狩場などでも、彼は
軽捷《けいしょう》に立ち回って、怪我一つ負わなかった。その上に、忠利侯の覚えもよ....
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
飛びかかった。その右の手には、早くも匕首《あいくち》が光っていた。が、与四郎は、
軽捷な忠直卿にわけもなく利腕《ききうで》を取られて、そこに捻じ伏せられてしまった....
「山崎合戦」より 著者:菊池寛
光秀の方に加っていたら、名分の上からも、いくらかごまかしがつくし、殊に此の信澄は
軽捷無類の武術があまりうまくなり過ぎて、武術の師匠を冷遇したので、その連中が丹羽....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
られたままになっている庸三の狭い庭にも、餌を猟りに来て、枝から枝を潜っている鶯の
軽捷な姿が見られ、肌にとげとげしい余寒の風が吹いていた。庸三の好きな菜の花が机の....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
《しな》やかな点で、他にこれよりも美麗駿速な馬種なきにあらざるも、かくまで優雅|
軽捷《けいしょう》画のごとく動く馬なし。十また十二歩離れた壁を跳び越え、騎手の意....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
み樹枝を揺《ゆす》って強く弾《はじ》かせ飛び廻る。学者これを鳥中の燕に比したほど
軽捷《けいしょう》で、『呂覧』に養由基《ようゆうき》矢を放たざるに、※、樹を擁し....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
のではなかった。すなわち片手で自由自在に、大刀を揮うだけの膂力あるもの、そうして
軽捷抜群の者と自ら定められているのであった。 で、もちろん封じ手で、印可以上に....
「餌」より 著者:宮本百合子
う。 庭へついと、遠い遠い彼方の空の高みから、一羽の小鳥が飛んで来た。すっと、
軽捷な線を描いて、傍の檜葉の梢に止った。一枝群を離れて冲って居る緑の頂上に鷹を小....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
り過ぎている。柔惰な享楽主義の生温《なまぬる》い枕《まくら》をし、皮肉できわめて
軽捷《けいしょう》でかなり好奇的で根本は驚くばかり冷淡な才知の生温い枕をして、暖....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
自分の気勢に恐れて、左門が逃げたと思ったからであった。頼母は追った。 何んたる
軽捷! 左門は、背後ざまに縁の上へ躍り上がった。構えは? 依然として逆ノ脇! そ....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
戸から裏通りへ入って、三田から芝のほうへ急いだ。 後からそれをつけて行った者は
軽捷な旅いでたちで、まず服装のいい武芸者という風采、野袴を短くはき、熊谷笠をかぶ....
「三国志」より 著者:吉川英治
は避けて、弱体を衝く。――当然な兵法だな。――だがまた、装備を誇る驕慢な大軍は、
軽捷な寡兵をもって奇襲するに絶好な好餌でもあるが?」 曹操はそうつぶやいて、是....
「三国志」より 著者:吉川英治
、魏平に二万騎を附けて後から続かせる」 張※はよろこび勇んで、手兵五千騎、みな
軽捷を旨とし、飛ぶが如く、敵を追った。 行くこと七十里。たちまち一|叢の林のう....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
すよっ。いらっしゃい」 「いま行く。いま行く」 崖は急なのである。子供のように
軽捷には降りられない。翠の傾斜を下へ沈みかけてゆく彼の姿が、途中から答えていた。....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
らの灌木帯のうちから、とつぜん、躍り出した男がある。鉢金だけの素兜に腹巻をしめた
軽捷な敵だった。――すわっと周囲の者は正成を庇ッて一せいに立ち向いかけたが、それ....